重力、夢中力【文豪ストレイドッグス】【中原中也】

(41)檸檬爆弾 ページ45

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「"い"を発音してくれと云ってるだろう？」


『カジーい』


「何かデジャヴを感じるよ?!」




到着早々五月蝿い奴だな全く…


嗚呼、そうだ。
スピーカーを使って会場内に連絡をしなければ。




『もしもーし。まだ息のある奴はエントランスに集合しろー』


「こんなに軽い招集の言葉は初めて聞くよ」


『また1つ経験が増えたね、おめでとう』



２分も経たないうちにエントランスホールには人が集まってきた。

無論、全員ポートマフィアの人員だ。




「標的は全員仕留めました」


『報告ありがとうございます、広津さん。皆は此の侭拠点に帰ってくれ』


「Aさんはどうするンすか？」


『私はまだ此処に居るよ。梶井と一緒に後から帰る』


「判りました」




では先に失礼します、とゾロゾロ外へ出ていく黒蜥蜴一行。


最後の仕事が残ってるからね、私には。




『…却説、カジー』


「もう何もツッコまない」


『手早く済ませてとっとと帰ろう。コンビニスイーツが食べたい』


「はいはい」




白衣の袖からゴロッと檸檬爆弾を床に落とす梶井。

其れを拾ってピンを引き抜き、



会場ホールに向けて投げ込む。





「ちょっと、何で先に投げてるのさ！」


『早く帰りたいっつってンでしょ』


「横暴な女性はモテないよ」


『その髪型直してから言えや』



爆発音を響かせ、爆風に呑まれるホールは壮観だった。




「こんなもん？」


『うん』


「君、20歳のクセして耐性有り過ぎだね」


『厭でもつくもんなんだよ』



ホールの扉を閉めながら梶井の方を振り返る。

扉の向こうは一般人なら気絶を通り越してショック死しかねない光景が広がっているわけだが、これも証拠隠滅のためだ。

仕方がない。



「ドレス姿って新鮮だね」


『早く脱ぎたい…』


「黙っていれば綺麗だよ」


『車降りたら覚えてろよ』



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