(40)裏の裏 ページ44
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何奴も此奴もデレデレしやがって…気持ち悪い。
酒の力ってすごいね。20歳の女がニコッてするだけで鼻の下伸ばしちゃうんだから。
会場に居る殆どの人間、そろそろ酔いが回った頃だろう。
『御手洗って何処かしら?』
そばにいた初老の男に訊いた。
「其の扉を出て右に曲がった所にございます」
『ありがとう』
云われたとおりに進むと、『rest room』と書かれた表示があった。
Wが彫られた扉を押し開けて中に入り、小型のインカムを耳に着ける。
『聴こえる?』
<はい。聞こえています>
部下の声が返ってきた。
『もう始めちゃおう。だいぶ酔ってる』
<了解です。手順通りに始めます>
『頼む』
インカムを耳から外して胸元に入れて扉を開けた瞬間だった。
「やっぱり黒か…残念だな、こんなに綺麗なのに」
細長い指の綺麗な手に首を掴まれ、締められている。
犯人は誰かというと、私にスノードロップを渡した男、つまり先程話していた次男だ。
其の儘壁に押し付けられ、指の力が一層強まった。
『光栄だな…こんなに美しい手が、黒く染まっていくのを見れるなんて…』
「いいね…その口調。さっき迄の下手なお嬢様口調より全然そそるよ」
『…君にそんな事言われても、ぐ…全く嬉しくないんだけどッッ!』
"そそる"なんて言葉初めて言われた。
今迄自分に無縁すぎて、あまり意味を理解していない言葉に少々の恥じらいと更なる苛付きが湧いてくる。
顔は良いのに超勿体ねェ……!!!
そんな思いを込めながら、精一杯の力で蹴りつける。
「っ〜?!!」
彼の脛を。
『君よりもっと良い
今日はヒールを履いていた事もあって結構なダメージだったのか、彼はまだ傷口を抑えて床をのたうち回っている。
『君みたいな餓鬼が私にそそるなんて、500年早いンだよ』
1発の銃声が響き、紅が散った。
『美男子を殺るってのもなかなかキツイね』
そんな発言が似合わないほど、Aの表情は淡々としていた。
「幹部、終わりました」
『随分早いンだね、お疲れ様。奴は?』
幹部"代理"なんだけどね…
「もう直ぐ到着するかと…」
すると、エントランスに声が響いた。
「や〜あA。元気にしてるかい?」
『おっそいんだけど。カジーのくせに』
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ヤマダノオロチ(プロフ) - ありがとうございます!目指せシックスパックです← 更新頑張ります! (2016年8月7日 19時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
桔梗 - 『氏ね』の一言を遠回しに言ってる、その内容で爆笑して腹筋が痛いです(これで割れるかな←) 訳:面白いです。これからも頑張ってください。 (2016年8月7日 17時) (レス) id: b2f7131e28 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - 雪凛 さん» はじめまして!コメントありがとうございます。共感してくださって嬉しいです(笑)頑張ります! (2016年6月9日 17時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
雪凛 - はじめまして!中也いいですよねぇ!かっこいいですよねぇ!もう、いろいろやばい…←とてもおもしろいです!これからも、頑張ってください! (2016年6月9日 16時) (レス) id: ca0edcb47b (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - わたがしちゃんさん» 同士様ですか…!ありがとうございます。頑張ります! (2016年6月5日 22時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤマダノオロチ | 作成日時:2016年6月1日 0時