(23)新生 ページ26
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あれから2年の時が経ち、私たちは
首領自らの発案で成人式を行ってくれた。
構成員だけの小さな成人式だ。
『恥ずかしいから』という理由で中也と一緒に断ったのだが、その願いは叶うはずもなく…
2人して袴を着せられた。
私に至っては振袖か袴か軽い論争があったらしいが、私の性格や趣味を考えて凛々しい蒼色の袴になったそうだ。
中也が「スーツでいいだろう」と提案したが、普段嫌という程見ているから、と紅葉姐さんによって更衣室へ強制連行されていた。
そんな賑やかな成人式から数日、私に新たな任務がやってきた。
『久々に中也と一緒じゃない…!』
「何嬉しそうに云ってンだ手前」
『ヤバイ感動で泣きそう…』
「死ね」
中也の暴言を無視して事務所を飛び出し、淡い水色のネクタイを緩めに締める。
今まで邪魔くさいから嫌がって身につけなかったネクタイだが、せっかくプレゼントしてもらったからね。それに色も気に入ったし。
彼奴も、何だかんだ言いながら被ってくれてるし。
________
「…へっくし!」
「中原幹部…風邪ですか?」
「違ェよ」
_________
今日の任務は密輸の取引だけ。
だから1人でなんだー…。
しかし、ついこの前までその取引すら中也が付近で監視している状態だったのだから大きな躍進だと思う。
川沿いをゆっくり歩いて、取引先の事務所へ向かう。
すると、何処からか怒鳴り声が聴こえてきた。
向こう岸だな、うん。
「また貴様はこんな所で…!24時間体制の監視をつけるぞ!!」
うわ何ソレきつ。
一体何をしたらそんな事云われるのか…
「まあまあ。そんなに怒らないでおくれよ国木田くん」
「仕事帰りに入水をして怒られないと思ったのかこの阿呆め!」
「えへへ」
「辞めろ。不快だ」
…この声……
目線を移せば、何時しか見た事のある姿が。
若干の大人びはあるが、間違いない。
あれは太宰治だ。
prrrrr…
『っ!もしもし』
<Aさん、>
『芥川くん…如何したの?』
<追加任務です。僕も今から其方へ向かいます>
『は?追加任務…って、ちょっと待!』
耳元で響く無機質な音。
切りやがった……!!!
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ヤマダノオロチ(プロフ) - ありがとうございます!目指せシックスパックです← 更新頑張ります! (2016年8月7日 19時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
桔梗 - 『氏ね』の一言を遠回しに言ってる、その内容で爆笑して腹筋が痛いです(これで割れるかな←) 訳:面白いです。これからも頑張ってください。 (2016年8月7日 17時) (レス) id: b2f7131e28 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - 雪凛 さん» はじめまして!コメントありがとうございます。共感してくださって嬉しいです(笑)頑張ります! (2016年6月9日 17時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
雪凛 - はじめまして!中也いいですよねぇ!かっこいいですよねぇ!もう、いろいろやばい…←とてもおもしろいです!これからも、頑張ってください! (2016年6月9日 16時) (レス) id: ca0edcb47b (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - わたがしちゃんさん» 同士様ですか…!ありがとうございます。頑張ります! (2016年6月5日 22時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤマダノオロチ | 作成日時:2016年6月1日 0時