春から夏へ ページ4
授業が始まって、早数週間。
どの先生からも受験生であることを痛いほど言われている。
高校の学校説明会も開催され始め、1つだけ参加することになった。
TK高校と言うところだが、父親の母校で、校則がほとんどないことでこの辺では有名な高校だ。
制服もないし、アルバイトもOK。
高校生というものをほとんど知らない自分にとっては「楽しそう」という印象しかなかった。
そして、高橋さんも同じ日に説明会に行くと言われた。
お互いにテンションが上がったのか、抱き合った。
正直、こんなスキンシップは始めてだった。
小学5年生、自分はいじめに似たものを受けた。
そのトラウマがあって、最近まで殻に閉じ籠ってたし、友達を作らなかった。
中1のクラスも絶望的で、担任からは「死んでた」と言われるほど。
中2で良い人たちに出会い、かなり変わった。
けど、スキンシップほどまでいけず、1人も少なくなかった。
そんな自分が、今、友達と抱き合ってる。
この人にはすべて許せるな、なんて思った。
仲良くしていきたいと、思えた瞬間だった。
そして、自分にも知り合いはいる。
幼稚園で一緒で、スノスト担の子、川合里桜というあまり評判は良くない子とクラスが被った。
まぁ、ジャニオタだから仲良くしておけば悪いことは起こらないだろうと甘く考えてた。
だから、自分と高橋さんと川合さんで過ごす事が増えた。
実際、川合さんは陽キャで、友達も多い。このクラスに仲がいい人が多いらしく、別の人といることもあった。
が、こちらに来ることもあった。
1日、1日を過ごしていくうちに、自分は謎の感情を抱くようになった。
前田陽菜という、スイミングスクールで一緒だった子がいた。
高橋さんは前田さんと意気投合したみたいで、共に過ごす時間が増えた。
後ろの方で話しているのを見て、なぜかモヤモヤした。
自分でも始めての感情だったし、良く分からなかった。
バカだったのは、「あ、これが親友なんだ!」と納得したところ。
他に探らなかったところだ。
まぁ、疑問を抱くほどの経験がなかったのも、あるかもしれないけれど。
そんな感情を抱いてすぐ、修学旅行の計画が始まった。
残念ながら同じ班にはなれず、自分の班にいるそこまで交流の無い人たちと話し合う事しか出来なかった。
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作者名:おずんぼ | 作成日時:2022年1月3日 20時