サクライロのあなたへ【F】

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あの日からAと連絡を取るようになった




お店で会う日もあれば

みっくんのバーで会うことも




ただ、どうしてもAに気持ちを

伝えることが出来ない






中学生のあの頃よりも確実に強い思いで

彼女のことを想っているのに





原因の一つとしては

俺が芸能人だから……




北山も千賀もデビューすると決まった時に

事務所からの命令で彼女と別れた




俺たちに今、恋愛している暇はない





だからこそこんな状態で

彼女に想いを伝えたところで

いい返事をもらえても何もしてやれない






だけど……もう少し

もう少し俺達が大きくなったら気持ちを伝えたい






その日までAが誰かに盗られないように

そばにいてもいいかな？









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１年後────









ｶﾗﾝｺﾛﾝ








「やーん、今日は太輔くん1人？いらっしゃい」








『お久しぶりです』







「座って座って！何飲む？」









『あー、ジントニックで』







「はーい！あ、ドラマ見たわよー！もうキュンキュンしちゃった♪警官の制服！」








『はは、ありがとう』







「んで、今日はどうしたの？珍しいじゃない」








『やっと、仕事落ち着いてきたからさ』








「……Aのことまだ悩んでるの？」









『んー、デビューしてさ、一年経ったけどまだまだじゃん？でもこんな状態でAを胸はって守れるわけねーし……』








「拓くんの登場に焦ってるんだ？」









『うん……』









「まー、明らかに彼はAを狙ってるわね。本人は気づいてないみたいだけど」









『それがなおさら厄介なんだよな……』








「はい、ジントニック。まぁ、そうよねー」









拓くんと言うのは最近、Aの店に来た新しい黒服







Aのこと狙ってるっぽいし

Aも彼となかよくしすぎ！







デビューしてから一年経っても彼女に

想いが伝えられないのがもどかしい









『あー、まじ焦る……』








1人グラスに向かって呟いた









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