愛のない世界【T】

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事務所につくと社長から色々と質問攻めされた









「彼のマンションに行っていたのは事実か？」







『……はい』









「付き合っているのか？」








『……いいえ』









「お前は……映画も控えてるのになんてことしてるんだ」









『すみませんでした』








「2人で撮られていないからまだなんとか揉み消すことができたが次はそうはいかないぞ」









『はい……』









「真剣に付き合っているのならバレないようにしろと忠告しただけだったが違うならもう関係を切れ」









『はい……本当にすみませんでした』









「もういい、大事な時期なんだ、もう少し考えなさい」









『はい、失礼しました』









マネージャーは私以上に怒られているに違いない

本当に申し訳ないことしたな

……これでもう彼と仕事以外で会うことは出来ない

やっと、好きになれた人だったのにな

裕太は恋愛なんて馬鹿馬鹿しいと思ってるから
今回のことで私とは縁を完全に切っても
なにも思わないだろう







『本気で好きだったんだけどな…』









「エランちゃん、家まで送るね」









私の呟きを聞いていたのか聞いてないのか
分からなかったけど
マネージャーのその優しさが心に染みた





車に乗るとマネージャーから話しかけてきた









「エランちゃんのことずっと担当してきたけどさ
やっと最近心から笑うよなって思ってたの」








『え？』








「私が気づいてないとでも思った？
私にも作り笑いしてる事ぐらい分かってたわよ」









『……』









「彼のおかげだったのね」









『あの……』









「社長はああ行っていたけど、私は今のエランちゃんが好きだから……本気ならバレないように上手くやりなさい。いざとなったら私が責任取るから」









彼女は今までどんな気持ちで
私のことを見ていてくれたのだろうか

こんな近くにちゃんと
私のことを見てくれた人がいたんだ

急に涙が出てきた

それでもマネージャーはそれ以上何も言わずに
私を家まで送り届けてくれた

人を好きになって
ちゃんと周りを見れるようになった

だから……

まだこの気持ちを大切にしてもいいかな？







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