偽りの人生 1 リヴァイ兵長夢 (ページ39)

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失う気持ちページ39

Aside

私が目覚めてから数日でエルヴィンと和解した。

私はまた感情を無くした。

いや、取り戻してなどいなかった。

笑顔は偽りだ。

涙も本物なのか自分でも分からない。

元に戻っただけだ。

私はあれ以来、敬語を使い、今まで以上に話さなくなった。

やはり人間は信用してはならない。

人間は嫌いだ。

ただ1人を除いて。

私は彼のために生きているも同然だった。

彼は私の全てだった。

私たちが出会ったのは三歳の頃だった。

お互いにはみ出し者で、よく一緒にいた。

私が逃げ出してからもよく会っていた。

チビには気づかれていなかったようだが、一緒にいたイザベルやファーランには恐らく気づかれていただろう。

あえて何も言わなかったのだろうか。

今となっては分からない。

2人が喰われた時、チビもかなり荒れていたらしい。

私はそこまで悲しくなかった。

ただたまに一緒にいただけ。

しかも私はその時まだ調査兵ではなかった。

そんな私にチビは激怒していたが。

今やっとわかった。

仲間を失うつらさが。

自分の恋人を失うつらさが。

私たちが付き合い始めたのは十代の頃だった。

それから今まで続いていた。

せっかく同じ兵団に入れたのに。

彼は私を置いて行ってしまった。

かつての私がしたように。

そのツケが回ってきたのか。

私はたちなおることができるだらうか？

むりだろう。

彼の代わりなんていない。

いっそ彼のいる世界に行ってしまおうか。

私は一番高い塔へと足を向けた。