ヤルケル区 ページ47
Aside
私の服のボタンが半分ほど外された時、ドアが開いて、憲兵が数人入ってきた。
助かった。
でも、その考えは間違っていた。
こいつらはグルだ。
後ろから駐屯兵も入ってきたけど、そいつらもダメ。
そして調査兵もいた。
名前も知らない下級兵士だけど。
なんで？
「こんにちは、女王陛下。いつもの強さはどこに行ったんでしょうね？」
憲兵の一人が言った。
私はもう一度抵抗を試みた。
そして気づいた。
手枷、足枷に加えて、首輪までつけられている。
無理に前に出ようとすると、首がしまる。
そんな私を、嘲笑うのが聞こえる。
負けてたまるか。
「殺してやるからな。お前ら全員。ズタズタにしてやる」
私は奴らを睨みつけながら言った。
また嘲笑われた。
「大人しくしてないと、痛い目にあうぞ？調査兵団の奴らはお前がユトピア区にいると思い込むはずだが、ここはヤルケル区だからな。なかなか助けは来ないぞ？」
ゴロツキが意味ありげに笑って言った。
ヤルケル区か。
ウォール・シーナの東だ。
対してユトピア区はウォール・ローゼの北だ。
自力で切り抜けるしかないか。
大丈夫。
もっとまずい状況だってあったんだ。
私ならできる。
私は深呼吸して、奴らを見上げた。
「私は一人でもお前ら全員を片付けることが可能だ。それが嫌なら私を解放しろ。もっとも、逃がすつもりはないが」
私はそう言って自分の格好を見た。
調査兵団の兵服。
立体機動装置は、横にほかってある。
常備しているナイフは…取られてない。
いける。
「もう疲れたからの寝させろ。商品にストレスが溜まってちゃ値が落ちるだろ？」
私がそういうと、なにやら話し合って出て行った。
ドアの外には見張りがいる。
でも、大丈夫。
私は袖からクリップを出して、手枷の鍵を外した。
バレないように注意しながら足枷も外し、首輪も外した。
見張りがこちらを見ていない隙にドアの横に向かった。
作戦開始だ。
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作者名：カシオペア | 作成日時：2017年9月16日 8時
