会いたい ページ22
Aside
私はお父さんとヒストリアとともにエレンに近づいていた。
エレンは動けない。
私たちはエレンに触れた。
その時、頭に電流が走ったかに思えた。
そして、思い出した。
「ウーリ？」
私は地下街で、一人じゃなかったんだ。
リヴァイと会う一年ほど前、私は親戚と会っていた。
私の叔父と。
きっと私にあの紙を残してくれたのも叔父さんだと思う。
なんで私は忘れてたんだろう。
ヒストリアがお父さんと何か話している。
私の耳には入っていなかった。
私の頭にあったのはただ、自己嫌悪のみ。
そんな大事なこと、忘れるなんてただのバカだ。
その時、お父さんに肩を叩かれた。
「A、ウーリはまだエレンの中で生きている。会いたいか？」
え？
死んでるの？
会話を聞いていなかったからついて行けない。
でも…
「うん。会いたい。一度でもいいから、会いたい」
私たちは下に降りた。
お父さんが注射を出した。
「これを使えばフリーダやウーリに会える。これを使って巨人化し、エレンを食えば。いや、正しくは背骨を砕いて脊髄液を体内に入れればいい」
これを使えば、会える。
謝らなくちゃ。
ずっと忘れてたことを。
でもヒストリアと同時にやったらどうなるんだろう？
どちらかがエレンを食い、人間に戻り、それを残ったどちらかが食うと言うこと？
それでも、私は会いたかった。
壁の秘密なんてどうでもいい。
ただ私は会いたいだけだった。
そんな私は横で行われているやりとりを無視している風を装った。
しかし、呼びかけられた。
「おい、A。お前は何がしたいんだ？愛しのリヴァイの助けにでもなりたいのか？」
ケニーが私に言った。
何がしたいか？
決まってるじゃん。
「私は叔父に会う。それだけでいい」
私の血がどうのなんて、聞きたくなかった。
聞こえないフリをした。
しかしケニーはお父さんと少し会話をしてエレンの方に行ってエレンの額を切った。
巨人化するなら、よーいどんって、無茶振りな。
それでも、やるしかない。
でもエレンは動かない。
なんで？
私は訳を聞いて、決意が揺らいだ。
私だって力はいらない。
ただ一度でいいから会いたいだけ。
その時、ヒストリアが注射器を割ってエレンの方に駆け出した。
「A！お前がやるんだ！お前じゃなきゃダメなんだ！お前はレイス家なんだ！」
え？
私は…
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作者名：カシオペア | 作成日時：2017年9月16日 8時
