信じる ページ21
Aside
私は目を覚ました。
いつの間にか気を失っていたようだ。
そこには、気絶しているエレンとヒストリア、そしてロッド・レイスがいた。
私の実父。
会いたくてたまらなかった人。
でも、今は憎んでいる人。
その時、父親が抱きついてきた。
「すまなかった。今まで」
そう言った。
その言葉を信じたい。
信じていいの?
「信じられなくて当然だ。だが、こうするしかなかったんだ。本当にすまない」
いや、信じよう。
無条件で。
そう決めたじゃないか。
「信じる。私、お父さんを信じる」
私はそう言った。
頰を涙が伝った。
お父さんは私から離れてヒストリアに何か言って部屋から出て行った。
「あの、Aさん…」
私はヒストリアの言葉を遮った。
「やめて。Aさんなんて呼ばないで。私も普通の口調にするから。敬語もやめて」
ヒストリアは頷いた。
ちゃんとした姉妹に近づいたかな?
「お姉ちゃんは自分が王家の人間だなんて信じられる?」
私は首を振った。
そんな、信じられる訳ない。
「未だに信じられないよ。私は文字通りどん底で生きてたんだから」
地下街で生きていた私にとって、今の私の立場は出来過ぎにも思える。
でもこれが現実なんだと思うと複雑な心境だ。
ずっと会いたいと願っていた父親に会えたことの喜び。
みんなを裏切っているという後ろめたい気持ち。
私はどうすればいいんだろうか。
私はその日、眠りにつくまでその葛藤が続いていた。
それでも、答えは出なかった。
その代わり、父親を信じると決めたという執念とも言える強い思いが増した。
長年一緒にいた仲間のこと、リヴァイのことさえ忘れて。
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作者名:カシオペア | 作成日時:2017年9月16日 8時