思い出した？ ページ6
ハンジside
Aが話し終わった後、しばし沈黙が続いた。
「質問はある？」
Aが言った。
「なぜ今まで黙っていたんだ？」
リヴァイが聞いた。
Aは困ったように笑う。
「だって、誰にも聞かれなかったし、話したところで何もならないでしょう？」
確かにそうだ。
少なくとも、前までは。
「A、君は本当に一人だったの？生まれてからずっと一人で生きていけるとは思えないんだけど」
私が聞くと、Aはまた困ったように笑った。
「そんな小さい時の記憶、ある訳ないでしょう？とにかく、覚えてる限りでは一人だったってだけ」
覚えてる限りでは…か。
思い出せないところには何があるんだろう。
少しして今日のところはお開きになった。
Aが立ち上がった時にイスの足につまずいて、エレンが支えた。
リヴァイが眉を寄せたのが分かる。
でも、問題はそっちじゃなかった。
Aが急に頭を抑えてうずくまった。
「Aさん？え？」
Aはしばらくして頭を抑えながら顔を上げた。
「地下街に…行かなきゃ。私の父親の弟が…私の妹が…手がかりがあるはず」
Aは壁に寄りかかって立ち上がった。
でも、目は決然としている。
何か思い出したの？
「私、今から行ってくる。ちょっと時間かかるかもしれないけど」
Aはそう言って駆けて行った。
そして完全装備で戻ってきた。
服は前に着てた地下街時代のやつだけど。
「じゃ、行ってくるね」
一人で行く気？
しかし、行こうとしたAの手をリヴァイが掴んだ。
「俺も行く。一人で行かせるわけにはいかねぇからな」
リヴァイはそう言って走って行った。
怪我、治ったんだっけ？
あれ、Aも治ってないような…
まぁ、二人なら平気かな？
リヴァイも完全装備で戻ってきたけど、服は調査兵団のものだった。
「ダメ。それじゃ。変に目をつけられたくないから。ちょっと来て」
Aはリヴァイを連れて行った。
戻ってきたリヴァイはAと同じような服を着ていた。
「うん。身長そんなに変わらないから私の服でも違和感ないね。もともと男物だし。じゃあ、今度こそ行ってきます！」
Aはそう言って出て行った。
その後に続こうとしたリヴァイに私は呼びかけた。
「Aに無理させないでね？」
リヴァイは分かってると言うように手を上げて出て行った。
大丈夫だよね？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 59人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カシオペア | 作成日時：2017年9月16日 8時
