私とオオカミくん４

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宏の背中がどんどん遠くなっていく。







「ひ、ろ・・っ、」



気づけば流れていた涙。





追いかけることもできないまま、

視界が涙で歪んで、

去っていく宏の姿さえよく見えない。







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私はただ、



誤解なんだよって。

寺井くんとは何もないんだよって。



それを伝えたかっただけだった。






なのに、どうして・・







『なんもわかってねぇよ、Aは』



「・・わかんないよ、なにも・・っ、」








どうしてこうなるの・・？








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堪えきれなくなって、

その場にしゃがみ込んだ。







私も悪かったかもしれないけど、

宏だって女の子と一緒にいたのに

何で私ばっかり・・









「宏なんか、・・だいっきら・・」








大嫌い・・？






そんなの嘘。







「・・・・っ、」




こんなにも大好きなのに。







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「宏っ、ごめん・・っ」




私は、宏が好きなの。


大好きなんだよ？






宏は何で女の子といたの・・？









悲しみや怒りじゃ表せられない感情。




宏が好きだからこその苦しみが

私の胸を締め付けていた。









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「A、おはよー」



「・・おはよう」



「どうしたの？」



「えっ・・？」



「なんか元気ないじゃん」



「ううんっ、大丈夫・・！」



「ほんとー？」



目腫れてるけどって、

心配そうなななちゃん。







「ほんとにだいじょ・・」



ななちゃん越しに、

偶然見つけた宏の姿。









「ひ、・・」



目が合った瞬間、

すぐに逸らされてしまった。





「・・・っ、」






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昨日、家に帰ってから

宏とのLINEの画面を

ずっと見つめてた。



連絡したかったけど

どうしてもできなくて。






少しだけ、

宏から連絡が来るのを期待して

待ってみたけど

結局来ないまま朝を迎えた。









「オオカミくんとなんかあったの？」



「あー、うん・・ちょっとね」



「ケンカしたの？」



「ケンカというか・・」





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やっぱり、私が悪いのかな・・





宏に言わずに寺井くんと一緒に

帰ってしまったのは事実。





でも、宏が女の子と

一緒にいたのも事実だもん・・






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「A？」



「あ、ごめん・・！行こっか」



「・・大丈夫？」



「うんっ、なんとかなる・・！」





えへへって、

沈む気持ちをごまかすように笑った。



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