私とオオカミくん４

137：寺井くんside ページ2

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あの日。



この街に引っ越してきて早々、

長年付き合ってた彼女にフラれた。



新しい男ができたんだと。






すごくいらだってた俺。






目の前にやたら

仲が良いカップルを見つけた。



それが木下さんと北山くんだった。





なんだよ、いちゃいちゃしやがって・・





腹が立った俺は

じゃましてやろうとわざと荷物を落とした。




すぐに拾いに来た木下さん。



木下さんが持ってたカバンの中に

俺が明日から通う高校の生徒証が見えた。





ということは、この２人、

俺と同じ高校・・？




ちょうどいい。

失恋した憂さ晴らしに遊んでやろ。




この時の俺は、

彼女にフラれたショックで

頭がいかれてたんだ。









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人より顔がイケてる自分。


木下さんをからかうのは簡単だった。






俺が褒めるたびに

顔を赤くする木下さん。




それがおもしろくてたまんなかった。







けど、






「ななちゃん聞いてー！！」



「なになに？」



「日曜日ね、宏と

　デートすることになったの！！///」






俺がどうしようと順調な２人。






なんだよ、むかつくな・・。







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俺のからかいは限度を超えて、

木下さんにキスをした。



２人がギクシャクなるのを期待して。









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そしたら月曜日、

あの事件が起こった。




北山くんに殴られて

我に返った俺。







なにしてんだよ・・。



俺、最低だな・・。







泣いている木下さんに


「ごめん・・」


それだけ伝えてその場を去った。








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次の日、




どういう顔で木下さんに

会えばいいのかわからなかった。




俺の身勝手な考えで

彼女を傷つけてしまった。




謝っても許してもらえるはずがない。









それなのに、






「ほ、ほっぺた大丈夫・・？」





最低な俺の心配をしてくれた木下さん。







俺がいい人だと思うって

本気で言ってんのか・・？









そうか。




北山くんは、きっと

こういう彼女のまっすぐで

優しくて誠実なところが

好きなんだろうな。









ちくしょう。


何で北山くんと付き合ってんだよ・・









胸の奥が痛む感覚がした。









この瞬間、




俺はもう遊びじゃなく




木下さんのこと

本気になってしまったんだ。




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