みっくんが好き。

023：みっくんside ページ25

.



後藤ちゃんと出会ってから、





「〜〜〜〜♪」



「ミツ、どうした？」



「ん？なにが？」



「最近やけにテンション高いじゃん」



「・・そうか？」





こんなふうに、

メンバーに指摘されることも増えた。









店に食べに行った次の日は、

自分でも不思議なくらい

気分がよくて、仕事も頑張れるんだ。









.







あの時もそうだ。









普段、あんまり悩まない俺が

珍しく問題を抱え込んだ時。









たまたま思いつきで行った

後藤ちゃんのとこ。









それは芸能界特有のもので、

別に相談するつもりじゃなかったんだけど









「私が北山さんの話聞きます・・！」








あまりにも後藤ちゃんが

俺を励ますために必死になってくれて、









「いつなの？休憩。

　俺の話、聞いてくれるんでしょ？」






その必死さを汲み取ると同時に、







.







“後藤ちゃんと話したい。”





今思えば、

そんな想いがあったのかもしれない。









.









.









案の定、一般の人には

よくわからないことだから、

後藤ちゃんも考え込んじゃって、









(ま、仕方ねーか・・)








.









白い息が出る寒い夜。






俺の上着を羽織った後藤ちゃんの頬が

風の冷たさに少し赤くなってた。







このままだと風邪ひかせちゃうし、

俺もかっこつけて上着貸したけどやっぱ寒いし。








そろそろ切り上げようとしたら、









.









「・・た、食べる！！」



「え・・？」



「美味しいものたくさん食べると

　幸せな気持ちになります・・っ」






いきなり後藤ちゃんから出た予想外の言葉。









そのまさかの助言が

後藤ちゃんらしくて、









「んふふっ」




思わず笑みがこぼれた。









.








きっとなにか俺に

助言できることはないか

後藤ちゃんなりに

一生懸命考えてくれたんだろうな。






その目がまっすぐで、

俺のために。って

気持ちがすごく伝わってきた。







.







そんな姿見てたら

なんだか悩んでるのも

バカらしくなってきて








.








「Aちゃんか・・」





自宅に向かうタクシーの中で

初めて知った下の名前をつぶやきながら

その姿を思い出して1人にやけてた。



.

024：みっくんside→←022：みっくんside

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す