みっくんが好き。

002 ページ3

.





「すみません、店長・・」



「なんだ皿割ったのか」



「はい、・・しかもお客さんに

　拾うのを手伝わせてしまいました」



「え？お前から頼んだのか！？」



「い、いえっ、・・お客さん自ら・・」



「・・どんなお客さん？」



「えっと、きた・・


『この店に俺が来てたことは内緒だよ？』


ハッ



「男の人でした・・っ！！」




危ない！！

約束を破ってしまうとこだった・・！！







あれ、でも店長なら北山さんが

来店してること知ってたのかな・・？







.






ふと、

壁に貼ってあるメモが目に入った。







“北山くん来店”









「こ、これって・・」



「あー、それはね、

　あのきすまいの

　北山くんのことだよ」



「えっ・・？」



「あれ？知らない？

　北山 宏光くん」



「え、いや、それは

　知ってますけど・・」


というかさっき会いましたけど・・






「ここよく利用してくれてて

　北山くんが来るときは

　できるだけ一般のお客さんに

　会わせないようにしてる」



「え、そうなんですか・・？」



「そうそう。北山くんとは

　共通の知り合いがいて

　昔から面識があるんだけど

　彼もだいぶ有名になったから

　なかなか食事も大変そうなんだよね」








そっか・・


芸能人だもんね・・






それなのに私はそんな北山さんに

割れたお皿の片付けをさせてしまったのか・・





もし一般の方にバレて

騒がれたりしたら

大変だっただろうに・・







ますます申し訳なさが増してきた。









.









.









.









「お疲れ様でした」





北山さんが帰る前にもう一度

お礼をしようと思っていたけど、

結局会えないままバイト終了。




私が気づいた頃には

北山さんはもう店を出た後だった。









.








「はぁー疲れたぁ・・」



家に帰ってテレビをつけると

たまたまきすまいが出てる番組だった。






『えー！？嘘だろ・・っ！？』


テレビの中でとてもいい

リアクションしてる北山さん。







私ほんとに今日

この北山さんに会ったんだ。



というか私が働き出した焼肉店の

常連さんだったなんて、それにも驚き。









「北山さん・・」




きすまいのことはあまり

よく知らなかったけど、



私の失敗なのに、

黙々と一緒にお皿を拾ってくれて


すごく優しい人だった。







「また来てくれるかな・・」


もう１回ちゃんとお礼がしたい。

.

003→←作者です◎

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す