みっくんが好き。

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『俺のこと好きになるなよ？』



まだ、“好き”って

ちゃんと言えていないのに。




はっきりそう言われてしまった。





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そうだよね・・





北山さんは芸能人だもん・・





私みたいな一般人なんか

相手にするわけない・・






そんなのわかってたことでしょ・・？






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「・・・っ、」



少しだけ、

涙が溜まってくのがわかった。





改めてわかる、

北山さんに対する気持ち。






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「後藤、なにしてんだ。早く戻れ」




バイトの先輩に

声をかけられてハッとした。






「っ、すみません・・っ！」



目をこすって

慌てて店内に戻る。








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「これ、８番個室」



「え、・・」




８番個室って北山さんのところ・・





「後藤・・？」



「・・っ、すみません・・

　すぐに持って行きます」








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気まずさを我慢して、


「お待たせしました」


そっと扉を開けた。






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「牛ミノになります」


お肉の乗ったお皿を

テーブルに置いて





一瞬、

北山さんを見た。







「この後どうしますー？」


私のことなんか見向きもせず

会話を続ける北山さん。




んははって、

いつものように笑って。






その表情からは、

気まずささえ感じない。






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「失礼します」



個室の扉を閉めて、

小さくため息をついた。






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『Aちゃんの頑張ってるとこ見て、

　元気もらってる客もいるってこと覚えといて』




てっきり、北山さんが言ってた

元気もらってる客って

北山さん本人のことだと思ってた。




だから少しだけ、

勝手に期待しちゃってた。



もしかしたら・・って。







「バカだなぁ、・・私」




前みたいに、ちゃんと

店員として接すればよかった。







“会いたかった”なんて

言うんじゃなかった。









こんな恋、








叶うはずないのに。







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「後藤、オーダー！」



「・・っ、はいっ！」





泣きそうになる気持ちを堪えて

仕事に戻った。



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