007 ページ8
.
Aの状態は次第によくなって
普通に会話もできるようになった。
でも俺はAに
何て話しかけたらいいのか
わからなくて・・
病室には行くけど、
直接話しかけることができずにいた。
.
そんなある日、
おじさんとおばさんから
突然話があるって呼ばれた。
「苦しむ・・？」
「私たちのことは親だって
理解したみたいなんだけど・・
恋人がいるって伝えようとすると
頭を抱えて苦しみだすの・・」
「何で・・・」
「きっと事故に遭った時、
頭の中が北山くんのことで
いっぱいだったんでしょうね・・」
おばさんが言うには
Aは事故に遭った時、
恋人である俺との記憶が
一番濃く残っていたために
それを全て忘れた今、
俺のことを思い出そうとすると
体に多くの負担がかかるらしい。
「これ・・・」
そう言って渡されたのは
俺がAにプレゼントした指輪。
「もう、記憶が戻らないかもしれないの・・
あの子に負担をかけたくないのもあるけど
北山くんをこれ以上苦しませるわけにはいかない・・」
「私たちも悩んだ結果なんだ・・・」
そう言って下を向いたおじさん。
「で、でも・・・っ」
「北山くん、ごめんなさい・・っ」
「俺は・・Aと・・・っ」
「あの子との結婚は諦めて・・？
それが北山くんのためなのよ・・」
おばさんが申し訳なさそうに
泣きながら最後に言った言葉は
俺の胸に深く深く突き刺さった。
.
.
病院からの帰り道。
返された指輪を見つめる。
.
『なぁ、藤ヶ谷・・』
『ん？なんだよ』
『・・・プロポーズってどうすんだ？』
『えっ！？お前Aちゃんにプロポーズすんの！？』
『ばか・・っ！！声でけーよ！！』
『はははっ、ごめんごめん』
『どうしたらうまくいくと思う・・？』
『そんなのお前の気持ちを
ストレートに伝えればいいんじゃないのか？』
『いや・・そうなんだけどさ・・』
一生に一度のプロポーズ。
どうしても中途半端にしたくなくて
その日のシチュエーションとかセリフとか
Aが喜んでくれるように念入りに考えた俺。
「こんなはずじゃなかったのにな・・・」
返された指輪を握りしめたまま
涙がこぼれて止まらなかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 203人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
清華(プロフ) - この物語、とても素敵です...機会が有るのなら、続きが見たいです (2020年3月4日 1時) (
レス) id: 1c085b2c66 (このIDを非表示/違反報告)
やまみつ(プロフ) - (名前)遥花☆さん» こんにちは^^ コメントありがとうございます！ お久しぶりです◎ そうですね…きっとみっくん本人も何事にもまっすぐで強い人間なんだろうと勝手に妄想しております。笑 主人公ちゃんの記憶が早く戻りますように…これからも見守っててくださいね＾＾ (2015年11月9日 15時) (レス) id: 76f445c12a (このIDを非表示/違反報告)
(名前)遥花☆(プロフ) - やまみつさん…おはようございます。北山さんのまっ直ぐで一生懸命で、困難に自ら向かって行く勇ましさが、本当の北山さんをそのま描いているようで…切ないけれど…でも凄く人としての器の大きさを感じます☆主人公ちゃん…お願い！ゆっくりでいいから、思い出してね (2015年11月9日 7時) (レス) id: 57b9d054d4 (このIDを非表示/違反報告)
やまみつ(プロフ) - ichigojamujamuさん» こんばんは＾＾コメントありがとうございます！私も書いていてなんだか悲しくなるときもありますが、これからも更新頑張りますね♪ 応援ありがとうございます！とても力になりました◎今後もよろしくお願いします＾＾ (2015年10月14日 18時) (レス) id: 42d06ce784 (このIDを非表示/違反報告)
ichigojamujamu(プロフ) - ドキドキしたり切ないお話ですが続き頑張ってください！気になりますので． (2015年10月14日 16時) (レス) id: e49c46559d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やまみつ
| 作成日時：2015年10月11日 17時
