ウォールステッカー ページ12
初等科の放課後。
SM「「ごきげんよう〜」」
O「ごきげんよう〜」
雨上がりのピカピカ雫が光る紫陽花の前で別れた三人は別々の迎えの車に乗りこんで…
再び車が大野邸で合流する。
S「ねぇ、やっぱ雅紀も誘った方が…」
M「ダメダメ。絶対バレちゃうもん。ニノ、勘がいいし。仕上げは誘うけど。」
O「早くやろ！」
大野が大きなブルーのシートを引きずってくる間に、櫻井と松本はランドセルからいそいそとハサミやら鉛筆を取りだす。
O「カツオに…マグロ。これはイシダイ…」
広大なリビングいっぱいに広げられたブルーのシートに腹ばいになって大野が魚の輪郭を描いていく。
櫻井と松本はそれをハサミで切り抜いて。
先日の初等科の遠足に、風邪をひいて欠席した二宮。口では「ボク海嫌いだから」と言いながら、ちょっぴり４人のおしゃべりにうらやましそうに瞳が揺れて。
O「ニノにも海を見せてあげよう！」
大野が言い出しっぺで三人はお魚作戦実行中なのだ。
M「ねぇねぇ翔くん…もうちょっとキレイに切って？」
S「え〜普通じゃん？智君の絵が細かすぎなんだよね」
O「なんか言った？」
M「何でもない…ん〜でも翔くんのも味があるかな？」
S「でしょ〜？翔、こういうの才能あるかも！じゃんじゃん作ろう♪」
リビングの高い天井にチョキチョキという音だけがひたすら響く。
…
翌朝。初等科の教室。
A「すごい！これ全部作ったの？え、なんで俺呼んでくれなかったの？」
M「だって雅紀口軽いから…」
S「だってニノと遊ぶ人もいないとバレちゃうじゃん！早く貼ろう？」
A「そっか！よし！じゃあ俺、こっからがんばるね！」
ペタペタペタペタ…
糊つきのシートを教室の大きな窓ガラスに一つ一つ貼っていくと、窓から見えるいつもの校庭に青い魚の群れが現れる。
O「あーばちゃん！この上貼って？」
A「はいはい、こう？」
窓ガラスの上までぎっしりと魚で埋まる頃
N「ごきげんよう〜えっ何コレ！」
M「ニノ、ごきげんよう〜」
O「今日はみんなで海の中だよ？」
N「えっこれ、いつの間に…だってまぁくん昨日何にも」
A「俺の名演技すごいだろ！」
相葉の一言に三人が顔を見合わせてクスクス笑う。
S「ニノ、座って座って？どう？」
皆の視線を遮るように二宮が制帽のひさしを下に思いきりさげる。
N「だから俺海嫌いって…ありがと。」
４人が微笑んで二宮をぎゅぎゅっと取り囲む。
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作者名：ゆみ
作成日時：2014年4月11日 6時
