さくらこ’s 短編集 (ページ7)

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「去年の、覚えてたの」

和「もちろん」

「そっか…」

和「てか去年の花火大会のことがなかったら、俺ら二人でここにいないからね」

「っ、…うん」

そう。

去年の花火大会で、私と和くんは一気に距離を縮めたんだ。

懐かしいな。

.

遡ること1年前。

私は入社したばかりの新人で、同じ部署に二宮さんはいた。

3つ上の二宮さんは、仕事ができて何でもテキパキとこなして、上司からも部下からも信頼を得ていた。

人の懐に入るのが上手いみたいで、仕事に限らず、お昼や飲み会も色んな人に誘われていた。

私には程遠い人だなぁ…

そう思いながらいつも眺めてた。

私は仕事の飲み込みも遅いし、人見知りだし。

仲の良い友達なんて数人しかいない。

同期の中にやっと気の合う子を見つけたくらいだし。

同じ部署の先輩なのに、仕事のことで少し話したことがあるだけで、それ以外はほとんど関わりがなかった。

友達「花火大会楽しみだね～」

「私人混み苦手なんだよね…」

友達「え、行くよね」

「うーん…」

友達「えーAいないとつまんないよ。行こうよ」

会社近くで行われる花火大会。

それに部署のみんなで行くのが毎年恒例らしい。

一応参加自由みたいなんだけど、1年目だし友達の誘いもあって渋々行くことにした。