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[116]__ 孤爪side ページ24

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▽ 孤爪side ▽


「いい感じだなぁ」

そう言う、監督の声を息を整えながら聞く。
あぁもう、疲れた。

まあ、翔陽の面倒臭い攻撃はなんとか犬岡の動きで止められたけど。止められなくても、ワンチ取れば拾えるようになって来たし。

…ただ、そんな事より。


「A君、オールマイティだね」

そんなクロの言葉に、はぁとひとつため息をついた。

「ほんと…それ」


向こうのセッターに次いで、面倒臭い選手。
スパイクはコッチが拾えない所に落としてくるし、レシーブも申し分無い。リベロかよって、思う程。

それに、なんと言っても、ずっとおれやこっちの方を見てくるあの視線。多分、観察されてる。


「あの13番、めっちゃレシーブ上手いよな」

そう夜久さんが言った瞬間、ピーッと休憩終了の笛が鳴った。夜久さんにまでレシーブ褒められるなんて、どういう上手さしてんのA。

…あぁ、でも。
どうやって攻略しようかと考えるのは、嫌いじゃない。





「もう一本!」

そう叫ぶ翔陽。
さっきから、何度も何度も翔陽の超速攻攻撃だ。あんまり、Aのことは使ってこない。

まあ、別に、ウチとしてはソッチの方が助かるけど。
あのAがレシーブに全面的に回るのも、それはそれで嫌なんだよなぁ…。


「ふぐっ!」

と犬岡の苦しそうな声が聞こえ、その次の瞬間、翔陽のブロックをどかっと落とす。
相手的には、どうにかして翔陽のこの速攻をもっと使える様にしたいんだろう。…今おれらは、実験台にされてる、ってわけだ。


でも、そろそろ挫けてくる頃でしょ…。
そう思って翔陽の顔を見たのだけれど。

「!」


彼は、苦しそうな顔をするどころか、笑っていて。
本能的に。そう、これは何か理由があって、とかじゃなくて。普通に、ただ純粋に、怖いと思ってしまった。


「ふふっ、翔陽怖っ」

と、そんな彼を見て微笑むA。
正直、そうやって笑って居られるAも怖いと思うよ…。


「翔陽、もう一本いったれ!」

「! おう!」


あー…Aの声掛けで、翔陽のやる気がまたアップした…。もうホント、滅茶苦茶めんどいタイプじゃん、A。


「恐ろしいねェ」

「…うん」

クロの言葉にそう返して、ネット前に構える。
疲れたし、そろそろ休みたい。

…でも、Aの事を攻略してみたいと思っているおれも居る。

中々、解決策は見つかりそうに無いけど…。


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ゆん(プロフ) - おもしろくてすぐに読み終わりました(о´∀`о)続きが気になります😃更新頑張って下さい(*´∇`*) (2022年7月6日 12時) (レス) id: d0dd043faf (このIDを非表示/違反報告)
naonao(プロフ) - 更新待ってます!!! (2021年10月29日 14時) (レス) @page37 id: d20e044f3d (このIDを非表示/違反報告)
MiSo(プロフ) - 続き楽しみにしています!!更新停止中ですが、再開したら無理せずに頑張ってください!応援しています! (2020年7月12日 0時) (レス) id: 78c105b37d (このIDを非表示/違反報告)
ミューナ(プロフ) - お気に入り登録が819になってる…! (2020年5月4日 8時) (レス) id: d5974347c1 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜 - 面白いです(*^^*)合宿の話とかすっごい気になります!更新頑張ってください、("⌒∇⌒") (2020年4月28日 15時) (レス) id: d570b5d827 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヒマリ | 作成日時:2020年4月27日 23時

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