［81］__ 西谷side ページ35
.
▽ 西谷side ▽
俺の、気持ち？
｢僕もきっと、飛雄がそんな風になったら。
飛雄が部活に来るまで僕も参加しないと思います｣
目の前に居る美形の後輩は、そう言って微笑んだ。
飛雄、ってーのは、確か今日会った1年の影山って奴だ。
多分、そんな言い方するっていう事は凄く大事なヤツなんだろう。
｢まっ、飛雄が勝てないからってイジけることは絶対無いと思いますけどね｣
今、サラッと旭さん馬鹿にされたな。
でも正直、その言葉に何か言い返せる訳では無い。旭さんが、今バレーから逃げてる事は変わらないからな。
それでも俺は。
あの人に。
｢…戻って来ますよ｣
西谷｢…え？｣
そう言った彼の瞳は、酷く綺麗だった。
なんというかまるで、硝子、のようで。黒い瞳なのに、透明な感じがした。
｢僕が旭さんだったとして、西谷さんみたいな後輩に戻ってきて欲しいって言われたら。
絶対戻ります｣
西谷｢それは、でもお前の気持ちで、｣
｢誰だって、そうだと思います。
スパイカーの中で、チームメイトに求められて嫌な人なんていませんよ｣
西谷｢…っ｣
俺は、何でコイツにこんな相談をしたのだろうか。
それは自分でも全く分かってなくて。でも、Aが最初に会った時に言ったんだ。
『何か悩みがあったら言ってくださいね！』
その言葉が、暫く頭から離れなくて。
気付いたら、今日こうやって一緒に帰って、話をしていた。
｢だから、大丈夫です。
信じて待ちましょう。
それでも無理なら、呼び戻しに行きましょう｣
何で、こいつは会ったこともない旭さんの事をここまで言い切れるのか。それは多分、こいつもエーススパイカーだったからだ。
だから分かるんだろう。
俺には分かりたくても、分かれないあの人の気持ちが。
だから俺は、Aに話したのだろうか。
分かれないあの人の気持ちを、少しでも聞く為に。
｢…なんて、ちょっとありきたり過ぎましたかね。
でも、嘘は言ってませんよ？｣
西谷｢……分かってる、充分だ｣
なんて言って笑えば、Aもまた今日一綺麗な笑顔を見せてくれた。
俺は、きっと安心したいだけだった。
旭さんが戻って来るって、信じていたかった。
だから、用がある場所まで送るとか言って無理矢理話を聞かせた。
なんか、せっかく出来た後輩だってのに、かっこ悪いとこ見せちったな。
でも、心の中の黒いモノは一気に晴れた。
Aのお陰で。
西谷｢…ありがとな、A｣
(続く)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 554人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おののいもこす - 92の濡れてる方が＿って、京都銀行の相合い傘 濡れてる方が 惚れている ですよね！あの句いいですよね！ (2020年4月27日 10時) (
レス) id: b426f69678 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 面白すぎます！更新楽しみにしてます！更新頑張ってください！ (2020年4月25日 20時) (レス) id: 0a80c4d22b (このIDを非表示/違反報告)
あやの(プロフ) - 今後どうなるのかほんとに楽しみです！続き楽しみにしていますね！更新頑張って下さい。 (2020年4月9日 11時) (レス) id: a320407a1b (このIDを非表示/違反報告)
樹 - 続編来ました！この作品が大好きです。正直早く続きが読みたくてうずうずしています。主人公がこれからどう進化したり人間模様がどうなるのかも楽しみにしています。 (2020年4月9日 11時) (レス) id: 8e6b7bcff3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヒマリ | 作成日時：2020年4月9日 11時
