warp. ページ35
鮮やかな夕空をバックに夏目はただ日暮くんを見つめる
ゴクリと誰かの喉が鳴る
細められたその瞳の奥で何を思考しているのか
彼のみぞ知る
体感、何時間とも感じられた沈黙は夏目によって破られた
「…ぁア、成る程ネ 現状を把握しタ」
ふ、と小さく息を唇から漏らし夏目は首を横に傾けた
「__で?」
通常のトーンより数個下の声色で吐き出された単語は、あの歪なアクセントも無くすらりと耳に沁みる
けれど何故だろうか
歪んだ抑揚が無くなり、耳に馴染みやすくなった筈の言葉が
聴いた者の脳を刺激する
否、歪という枷が外れたことが、歪になったのだ
夏目の声は頭の中を反響し、言葉は深く刻み込まれる
これは通常の言葉より数倍もの威力がある
「キミがどんなにアプローチしたところでこの子は靡かないシ、ボクが靡かせなイ」
「それでも戦うっていうなラ」
私の肩を抱く手に力がこもる
夏目は一歩前に足を踏み出して不敵に笑った
「__かかっておいでよ」
日暮くんから一切視線を逸らさずにそう告げて、夏目は私の肩を押しながら校門を抜ける
日暮くんの横を抜ける時チラリと見えた彼の表情はとても悔しそうだった
現在、肩を抱いていた夏目の手は、外気に晒されて冷え切った私の手と繋がれている
夏目の手も冷たいけれど、ほんの少し残っている温もりを感じていた
男性にしては細白い夏目の掌は私の掌を包み込んで離そうとはしなかった
隣からひしひしと伝わってくる不機嫌オーラに身を縮こませる
「…A、若干絆されてたでショ」
視線を反対方向に逸らしつつ、拗ねた様な口調で呟く夏目
その様子がなんだか懐かしくて、内心愛おしかったり
「そうだな こんなに自分を好いてくれているのだ、と思ってしまった」
プロデューサーとして裏で走り回る私の姿を見つけて、褒めてくれた
そのことがとても嬉しかったのは事実だ
「でも、私は夏目が好きだ」
いつも隣にいて支えてくれる夏目だから好きなのだ
「私はキミが好きだよ 夏目」
確かめる様に、慈しむ様に繰り返した言葉は心に融けてゆく
私の言葉に反応したのか夏目の体温が上がっていくのが掌越しに伝わってくる
「ほんト、そういうところばっカ ずるいよネ」
逸らしていた視線をかち合わせて、気恥ずかしそうにはにかんだ
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ああ - 面白いです。頑張ってください! (2018年2月21日 5時) (レス) id: 4f788f756a (このIDを非表示/違反報告)
ろいど軍曹??稲妻に貫かれた(プロフ) - よよみ??そーちゃんに心臓を奪われたさん» コメントありがとうございます。夏目くんへの愛情が溢れ出てきてしまい、このような拙い小説を書かせていただいています…。これからもよろしくお願いします…! (2017年2月21日 19時) (レス) id: d3d55130b6 (このIDを非表示/違反報告)
よよみ??そーちゃんに心臓を奪われた(プロフ) - ろいど軍曹最高でございます。夏目やばいよw続きが読みたい!(^o^三^o^) (2017年2月19日 9時) (レス) id: e2a8f81aa9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろいど軍曹 | 作者ホームページ:http://uranaitukuru
作成日時:2016年12月18日 21時