seek. ページ16
音楽がとまる
止むことのない拍手と歓声
乱れた呼吸を整えながらぐるりと観客を見渡す
Trickstarの色に染まっていた観客達はSwitchの魔法にかけられてしまった
望んでいた光景を目の前にし、心臓が高鳴る
これがボクが歩んで行く道なのだ
これならAも喜んでくれるだろう
そう、思っていた
ちらりとAの方を向く
其処には小さく身体を震わせながら、大きな瞳を潤ませている彼女が立っていた
口角は少し上がっていて、笑っている
観客への挨拶を済ませた宙と奴が、ボクと同じ様にAの姿を見つけた
宙は一目散にAに笑顔で駆け寄り、奴は嬉しそうに感動してもらえた、と言った
ーー違う
違う、違うのだ
彼女は感動して涙を浮かべているのでは無い
あれは
気づいた瞬間、一気に身体の温度が下がる
嫌だ 見たく無い
無意識のうちに彼女の元へと向かう脚を速める
「お疲れ様 凄いライブだった 私は感動した」
そう言って彼女はまたその笑みを浮かべる
止めてよ
ボクが気づかないとでも思ってるの？
パッと宙の頭を撫でていた腕を掴み、其の儘控え室へ向かう
廊下を歩いている時は始終無言で、控え室に入り鍵を閉める
ボクが鍵を閉めた事を不思議に思ったのかAは首を傾げながら扉へ近づこうとする
そんな彼女の腕を引き、正面から抱き締める
一瞬動揺したものの、弱々しい瞳でボクを見つめるA
けれどその瞳にはボクでは無い何か別のものを映している
「如何したんだ？ライブで疲れたのか？そうだな、あんなに歌ったら疲れちゃうよな お疲れお疲れ これから、」
ペラペラとボクを労う言葉を並べていく
馬鹿だな
ボクがその手に引っかかる訳がないだろう
懸命に脳を回転させ、ボクに心中を悟らせない様にしているつもりだろう
そんな彼女のマスクを外し、顔を近づける
いきなりの事に反応できない彼女を置いて、ボクは彼女の唇のキスを落とす
一回
二回
三回
四回
そっと唇を離せば温もりが消え、名残惜しさが残る
Aの方を見てみれば、顔を真っ赤にさせ、そしてその瞳からは大粒の涙を零していた
ーーーーーー
ーーーーー
この主人公の心情は物語シリーズの「二言目」という曲を聴くと解りやすいかもしれません。
この曲中、ずっとギギ、とカッターを引いた時の様な音が聴こえるのですが、其れをここの主人公に当てはめると歯車を回す音っぽいです。歌詞だけでも良いので是非見て頂ければ……。
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ああ - 面白いです。頑張ってください！ (2018年2月21日 5時) (
レス) id: 4f788f756a (このIDを非表示/違反報告)
ろいど軍曹??稲妻に貫かれた(プロフ) - よよみ??そーちゃんに心臓を奪われたさん» コメントありがとうございます。夏目くんへの愛情が溢れ出てきてしまい、このような拙い小説を書かせていただいています…。これからもよろしくお願いします…！ (2017年2月21日 19時) (レス) id: d3d55130b6 (このIDを非表示/違反報告)
よよみ??そーちゃんに心臓を奪われた(プロフ) - ろいど軍曹最高でございます。夏目やばいよw続きが読みたい！(^o^三^o^) (2017年2月19日 9時) (レス) id: e2a8f81aa9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろいど軍曹 | 作者ホームページ：http://uranaitukuru
作成日時：2016年12月18日 21時
