sin.0 MONOLOGUE 追憶 ページ1
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ナイトレイブンカレッジ、通称NRC。
生粋の男子校であるこの学園には8つの寮があるが、、
今宵はその中の一つ、ポムフィオーレ寮のとある寮生の話をしよう。
俺はカタリヤだ。ある奴から頼まれてな、お前らにこうやって話してんだ。
俺って言ってるがしっかりした女教師だからな。
まあ、俺の話はここらで終わらせて。
あれは去年の入学式だったな。
新しく入学してきた野郎どもは名門校の荘厳に目を輝かせていた。
順調に寮分けが進んでいって、寮分け待ちの生徒は残り一人だけになったんだ。
学園長がそいつを鏡の前に誘導させようとして肩に手を添えようとしたんだが、
なんとまあそいつは目にも留まらぬ速さで飛びのいたんだ。
そのあと、か細い声で「……触るな」ってよ。
学園長はもちろん、みんな押し黙っちまってなあ。
俺もその場にいたんだが、その発言で部屋の気温が3度くらい下がった気がしたぜ。
結局その生徒は闇の鏡に向かってゆっくり歩んでいって寮分けをしたんだが、
歩いているときの姿が妙に引き付けられるようだった。
あと衝撃だったのは……
鼻をさすようなにおいがしたことだな。
香水くせえとか、風呂入ってねえとか、そういう類のものではなくて、
……なにかの薬品のようなにおい。
エレメンタリーで扱う薬品の匂いがかすかにした。
それを吸い込んだ一部の奴らは顔が真っ青になって、保健室に運び込まれていったな
俺もかなりぎりぎりだったがなんとか、な。
闇の鏡のまえであいつは、「A」ってファーストネームだけ答えやがった。
なんつう寡黙で不愛想な奴だ、って思ったな、懐かしい。
そのあと鏡に「汝の顔を見せよ」って言われて、意外にもそいつはすぐにローブを取って素顔をさらした。
刹那、俺たちは心臓が凍る感覚を味わうことになった…
ローブの束縛を解かれたパールグレイの髪が、ゆっくりと空中に舞い、
放物線を描くように彼の胸元に落ちた。
ずっと目を伏せていた彼が急に瞼を開き、
エバーグリーンの瞳がじっと闇の鏡を見据えていた。
とてもじゃないが男には見えなかった。…まあ男じゃないんだが
誰もがその魅力に引き付けられていた
息を忘れるかのようだった
それはあまりにも甘美で、あまりにも毒々しくて
いっそ死.んでしまいたいほど恥らしかった
そんな彼がポムフィオーレに抜擢されるのは自然の摂理だった
もはやこれだけでは彼を、彼女を語り切れない
Aは不思議な人物だ
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