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ねえさんが一人 ページ5

_「ねーちゃんが……、結婚……?」


 焼きプリンも食べ終え、食休みしていたとこにまさかの爆弾。
 いちにいはよく分かってないのか、その言葉を二、三回復唱する。


「ねねねね姉ちゃんが、?」


 二郎は分かりやすいレベルで震え、目尻には涙。
 カタカタと小刻みに震え、机もそれに釣られてガタガタと音を立てている。


「……」


 僕は何も言えなかった。
 おめでとう、ぐらいは言った方が良いのだろうけど、あまりの衝撃とショックは、ヒプノシスマイクで精神攻撃を受けた時以上の威力として精神を恐ろしくすり減らす。

 ねえさんはただ一言、急にごめんなさい、と呟く。

「お母さんの話でね。 ……すごく、いい人だから、って」


 そう言われ、ねえさんのお母さんを思い出す。
 若い頃から仕事一辺倒で、その娘であるねえさんは僕らと一緒に遊ぶことが多かった。
 あまり、似てなかったと思う。

「私、お風呂入ってくる」

 いつもなら「一緒に入るー?」なんておちょくるねえさんが、静かだ。
 ねえさん、と呼びかけると、ねえさんは少し肩を震わす。


「ごめんね」

 もはや、何に対しての謝罪かもわからない。
 パタン、と扉が閉じ、一斉に「はぁぁ〜〜〜〜ッッ」というクソデカため息。


「ねーちゃんが……」

「俺らの……姉ちゃんが……」

「けっこん……」


 キツい。
 ねえさんは可愛いから、嫁の貰い手なんていくらでもあるし、母親の職を継ぐように婿入りも考えられた。
 どうして、待ってくれるなんて思ってたんだろう、僕。

「ねえ……さッ……」


 久々に、泣いてしまった。
 やだ。 ねえさんが他のおとこの前で、僕らの知らない『オンナ』になってしまうことが、何よりも。

 小さく泣きじゃくっていると、ダンっと机を叩く音。
 いちにいだ。 たぶん机は凹んだ。


「お前ら……、このままねーちゃんが嫁入りしていいと思ってるのか……?」


 聴いたことないほど、声は低く震えてる。


「うぅっ……」


 絶対にやだ、と言うように二郎は首をぶんぶんと横に振る。
 二人の目がこちらを捉え、三郎は? と声に出さずとも訊かれていると分かる。


「……もちろん、やだ」


 ねえさんの表情は、内容と打って変わってとても悲しそうだった。
 相手もねえさんが選んだわけじゃない。
 つまり望んだ結婚じゃない!


「よし、とりあえずねーちゃんの結婚相手を探そう。 どこの馬の骨かもわからないやつに、ねーちゃんは任せられない」

「兄ちゃん……」


 ねえさんの、ためにも。

姉ちゃんが二人→←我らがねーちゃん!



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おりはるこん(改名)(プロフ) - ミーさん» コメ返し遅れて申し訳ないです!最近やることが多いので更新事態の優先順位が低くなってるのがすごく悔しくて…。終わりは決まってるので着いてきていただけると嬉しいです! (2018年11月29日 20時) (レス) id: ea4c86eaca (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 最近読み始めたので、更新とても嬉しいです…!これからも頑張ってください! (2018年11月9日 20時) (携帯から) (レス) id: 750b1e0df3 (このIDを非表示/違反報告)
おりはるこん(改名)(プロフ) - ぬぬぬさん» ここだと文字数が足りないのでボードかメッセージに移行してもよろしいでしょうか?私の考察は250文字以上になってしまいそうなので…(汗) (2018年9月15日 18時) (レス) id: ea4c86eaca (このIDを非表示/違反報告)
ぬぬぬ(プロフ) - ペンは剣よりヒプノシスマイクってどういう意味だと思いますか???調べても全然分からなくて… (2018年9月15日 17時) (レス) id: 62aeac2e51 (このIDを非表示/違反報告)
おりはるこん(改名)(プロフ) - ぬぬぬさん» わかりみが深い…!久々にヒプマイを誰かと語れてスッキリしました!ぽっせもわかります!ヒプマイ沼は深いですね…! (2018年9月15日 17時) (レス) id: ea4c86eaca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おりはるこん(元鈴音) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年8月26日 8時

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