ねーちゃんが十九人 ページ23
_『ああ、彼は私の親戚だね。 外科医をしているのだけど、中々に腕がよくて……。 性格も良いし、彼に手術してもらった患者は、彼を「神」と称えているよ』
「神……ですか」
『私も、言い過ぎだとは思う。 ただ、血縁者として見させてもらうと、彼は内面はあまりよろしくないね。 外面はいいから、医者と患者という関係であれば文句はないはずだと思うけど……』
「あー、その、関係ではないん、です、よ、ね……」
『……元より、支配欲求の強い人物だよ。 従属的で大人しい、まるで忠犬のような女性が好みだとも言っていたしね。 この時代にそんなこと言えるなんて、私にはとても理解できないけど』
さらっと毒を吐く寂雷さんに、思わず苦笑する。
支配欲求、ねぇ……。
神宮寺という名字からまさかと思ったが、そのまさかとは。
寂雷さんもあまり良い印象を持ってないらしい。 どうやら、ある意味外交的な人間のようだ。
『聴きたいことは以上かい?』
「あ、はい。 忙しいとこすみませんっした」
『構わないよ。 一郎くんにはお世話になってるからね。 それでは、また』
電話が切れ、静寂に包まれる。
ねーちゃんをあまり刺激したくなくて外に出たが、意外と話し込んでしまった。
「はぁ……」
ねーちゃんの手に指輪がないことで忘れてた。
いや、無意識に思いださないようにしていたのかもしれない。
許されるならぶっ殺してぇ。
拳を握り、行き場のない怒りをどうにかして抑えた。
_「ただいまー……っと」
「あ、兄ちゃん! おかえり」
「いちにい、おかえりなさい!」
ソファに二人が仲良さそうに並んで座ってる。
声も潜めてどうしたんだと近寄ると、ねーちゃんがすうすうと寝てた。
うっおかっわ……!
「ねえさん、明日帰るそうで……」
「あと、その婚約者と電話してた。 ……やっぱ結婚したくねぇって」
ねーちゃんが泣いてた、らしい。
小さい頃からの付き合いだが、なんやかんやねーちゃんが泣いたとこ、あまり見たことない気がする。
結婚なんて無理にするもんでもねぇだろ、と思いながらスマホを机の上に置く。
「ねーちゃん」
寝てるから聞こえてないだろうけど。
起こさないように小さめな声で話しかける。
「辛かったらいつでも、俺らンとこ来てくれ」
多分俺らは、ねーちゃんが思ってるよりもねーちゃんが好きだから。
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おりはるこん(改名)(プロフ) - ミーさん» コメ返し遅れて申し訳ないです!最近やることが多いので更新事態の優先順位が低くなってるのがすごく悔しくて…。終わりは決まってるので着いてきていただけると嬉しいです! (2018年11月29日 20時) (レス) id: ea4c86eaca (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 最近読み始めたので、更新とても嬉しいです…!これからも頑張ってください! (2018年11月9日 20時) (携帯から) (レス) id: 750b1e0df3 (このIDを非表示/違反報告)
おりはるこん(改名)(プロフ) - ぬぬぬさん» ここだと文字数が足りないのでボードかメッセージに移行してもよろしいでしょうか?私の考察は250文字以上になってしまいそうなので…(汗) (2018年9月15日 18時) (レス) id: ea4c86eaca (このIDを非表示/違反報告)
ぬぬぬ(プロフ) - ペンは剣よりヒプノシスマイクってどういう意味だと思いますか???調べても全然分からなくて… (2018年9月15日 17時) (レス) id: 62aeac2e51 (このIDを非表示/違反報告)
おりはるこん(改名)(プロフ) - ぬぬぬさん» わかりみが深い…!久々にヒプマイを誰かと語れてスッキリしました!ぽっせもわかります!ヒプマイ沼は深いですね…! (2018年9月15日 17時) (レス) id: ea4c86eaca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おりはるこん(元鈴音) | 作者ホームページ:なし
作成日時:2018年8月26日 8時