ねーちゃんが九人 ページ13
_「ねーちゃん。 俺、買い物行ってくるけど、なんか買ってくるもんある?」
「ある気がするから着いてく」
一休みしてるねーちゃんに声をかけると、こんな返答。
二郎と三郎は俺が受けた依頼の仕事をしている。
あの件以来、度々仕事を任せているが、二人は嬉しそうにこなすため、ちょっと申し訳ない。
ねーちゃんは、「一郎とデートだぁ」と少し幼い笑みを浮かべた。
デート、か。 意識しないようにしてたが、本人に言われちゃたまったもんじゃない。
着替えてくる、と風呂場に行くねーちゃんの足取りは軽く、少し跳ねている。
俺とのデートがそんなに嬉しいのかなー、なんて。
俺ももうちょいいい服に着替えた方がいいのか、それともいつも通りでいいのか。
迷うとこではあるが、意識してると思われるのは少しはずい。
結局、男なら行動で示すべきだという結論にいたり、ソファに座ってねーちゃんを待つ。
「一郎、どこ行くのー?」
「まあ、適当に本屋とか……」
ねーちゃんは小さい頃からあんまり外に出たことがないという。
近所のスーパーと、ねーちゃん家と、俺らん家の往復で済ましているらしい。
「ねーちゃんはどこ行きたい?」
「色んなとこ行きたいなぁ。 カフェとか、洋服とか見たい」
「んー、わぁった」
ねーちゃんは鞄の用意をしていた。
よく分からないけど、少し短めのスカートがなんとも言えず可愛い。
「準備出来たよ! いこいこ!」
そう言ってぴょんぴょんと跳ねるねーちゃんの頭を撫で回したい衝動を抑えながら玄関を閉める。
二人には「ねーちゃんと買い物してくる」とメッセージを送った。
_「まずはどこに行こっか」
駅で二人並んで行先を決める。
とりあえず、イケブクロで一番大きな街に行くことになり、満員電車に押し乗る。
「一郎、ごめんね」
「ああ、これくらい平気だよ」
流石に俺は女性専用車両に乗れないから、ねーちゃんを身を呈して守る。
両手でねーちゃんの顔の横を支えている、所謂『壁ドン』状態のため、めちゃくちゃに距離が近い。
心臓がバックンバックンとうるさいが、我慢だ。
瞬間電車がガタンッと傾く。
「きゃっ……」
「うぉぉ……」
近い近い近い近い近い近い!!
離れようにもねーちゃんの方に重心が傾いてるため、離れられない。
「ごめん、ねーちゃん……!」
「ううん、一郎は大丈夫?」
大丈夫だが大丈夫じゃない。
とりあえず俺は萎える話を思い出し、その場を凌ぐのだった。
788人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おりはるこん(改名)(プロフ) - ミーさん» コメ返し遅れて申し訳ないです!最近やることが多いので更新事態の優先順位が低くなってるのがすごく悔しくて…。終わりは決まってるので着いてきていただけると嬉しいです! (2018年11月29日 20時) (レス) id: ea4c86eaca (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 最近読み始めたので、更新とても嬉しいです…!これからも頑張ってください! (2018年11月9日 20時) (携帯から) (レス) id: 750b1e0df3 (このIDを非表示/違反報告)
おりはるこん(改名)(プロフ) - ぬぬぬさん» ここだと文字数が足りないのでボードかメッセージに移行してもよろしいでしょうか?私の考察は250文字以上になってしまいそうなので…(汗) (2018年9月15日 18時) (レス) id: ea4c86eaca (このIDを非表示/違反報告)
ぬぬぬ(プロフ) - ペンは剣よりヒプノシスマイクってどういう意味だと思いますか???調べても全然分からなくて… (2018年9月15日 17時) (レス) id: 62aeac2e51 (このIDを非表示/違反報告)
おりはるこん(改名)(プロフ) - ぬぬぬさん» わかりみが深い…!久々にヒプマイを誰かと語れてスッキリしました!ぽっせもわかります!ヒプマイ沼は深いですね…! (2018年9月15日 17時) (レス) id: ea4c86eaca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おりはるこん(元鈴音) | 作者ホームページ:なし
作成日時:2018年8月26日 8時