オネーさんがさんじゅーごにん ページ39
「ねー! 一郎顔怖いよー、もっとリラックスリラックス!
二郎は反対! にやけすぎ!
顔はいいんだから活かしなよねー。
三郎は上手いけどー、なんか腹立つ」
「なんですかそれ!」
やっぱり素材が良くても素人は素人だ。
無駄に素養がありそうなのは三郎。 表情作りもポージングも上手くて、なんか腹立つ。
Aは苦笑い混じりに微笑んでるだけだが、ドレスがそうさせるのか、ものすごく絵になる。
なんやかんやあったが、それでも、結構いい写真は撮れるものだ。
全て表紙にしたいレベルの写真に、思わずカメラマンが「いいですねぇ!」と笑っていた。
カメラマンの腕が良いだけ、という面白みのない世辞をAが送ると、はっはっはっ、と実に愉快そうに笑ってる。
その場からふらっと離れ、珈琲を飲んでいると隣にAがやってきた。
汚れてはいけないから、と水を飲んでいる。 三人は、向こうの方でカメラマンと談笑していた。
「ちょっと、疲れちゃった」
「ん、おつかれー」
そう言うと、Aは「乱数くんも」と微笑んだ。
沈黙が訪れ、なんとなく「写真、結構よかったよ」と言ってみる。
Aは嬉しそうに笑うだけで、なんとも言わなかった。 すっとカメラマンと盛り上がる三人を見つめ、ぽつりと
「今日が、終わらなければいいのに」
とこぼした。
Aが重ねて重ねて隠していた、本音の一部分。
花婿との結婚が嫌だからか、それとも、ずっと三人の『お嫁さん』でいることを望んでいるのか。
まるで物語のような、現実の話。
最後は、ハッピーエンドになるのだろうか。
「ねーちゃん!」
「姉ちゃんっ」
「ねえさーん!」
三人に呼ばれ「ちょっと行ってくるね」と微笑み、「なぁにー?」と返事をしながら三人の方へ向かう。
つまずいてなれだこんでも、三人は何も言わずに抱きとめる。
その笑顔があまりにも自然で、幸せそうだったから。
「……」
思わず、持っていたスマホでぱしゃりと写真を撮る。
ボクはカメラに関しての知識はないし、ましてやスマホのカメラ機能なのに。
その写真は、今日一の出来栄えだった。
「……幸せそー」
「乱数くん! そろそろ着替えてもいーい?」
いいよー、と返すとどこからともなく従業員が駆け寄り、一緒に部屋に向かっていく。
しん、と静まりかえった部屋の中、ボクはなんとなく、その写真を消去した。
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おりはるこん(改名)(プロフ) - ミーさん» コメ返し遅れて申し訳ないです!最近やることが多いので更新事態の優先順位が低くなってるのがすごく悔しくて…。終わりは決まってるので着いてきていただけると嬉しいです! (2018年11月29日 20時) (レス) id: ea4c86eaca (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 最近読み始めたので、更新とても嬉しいです…!これからも頑張ってください! (2018年11月9日 20時) (携帯から) (レス) id: 750b1e0df3 (このIDを非表示/違反報告)
おりはるこん(改名)(プロフ) - ぬぬぬさん» ここだと文字数が足りないのでボードかメッセージに移行してもよろしいでしょうか?私の考察は250文字以上になってしまいそうなので…(汗) (2018年9月15日 18時) (レス) id: ea4c86eaca (このIDを非表示/違反報告)
ぬぬぬ(プロフ) - ペンは剣よりヒプノシスマイクってどういう意味だと思いますか???調べても全然分からなくて… (2018年9月15日 17時) (レス) id: 62aeac2e51 (このIDを非表示/違反報告)
おりはるこん(改名)(プロフ) - ぬぬぬさん» わかりみが深い…!久々にヒプマイを誰かと語れてスッキリしました!ぽっせもわかります!ヒプマイ沼は深いですね…! (2018年9月15日 17時) (レス) id: ea4c86eaca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おりはるこん(元鈴音) | 作者ホームページ:なし
作成日時:2018年8月26日 8時