君と見たあの空を (ページ14)

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玲於side

「事務所に止められてるんです。」

「バレなきゃいいよ、二人だけの秘密」

番組の収録が終わり車に向かう途中。曲がり角の先からそんな声が聞こえて来た。

今どきこんな場所でナンパする奴なんているんだなと呑気に考えながら角を曲がると

そこには男から必死に逃げようとしている宮さんがいた。

腕を掴まれ困った顔で抵抗する彼女をみて考えるよりも先に体が動いていた。

「彼女困ってるんで腕離してあげてもらっていいっすか？」

突然降ってきた声に驚いたように2人して此方をみて

そそくさと逃げていった男を睨みつける。

「大丈夫ですか？」

何が起こったのか分からないと言うように放心状態の彼女に声をかければ

『……ありがとうございます』

と思い出したようにお礼を言われた。

チラリと視線を下げると赤くなってしまっている腕が見える。

「腕見せてもらってもいいですか？」

『え？あ、あぁはい。』

手を捻っていないか確認するため軽く動かしたら一瞬顔を顰めた宮さん

「ちょっと捻ってますね」

『このくらい大丈夫ですよ』

困ったように笑う彼女の腕に鞄の中に入っていた冷えピタを貼った。

『冷えピタですか？』

「そう、暑い日は貼ったりするんですよ」

驚いたように聞いてきた彼女に言えばなるほどと納得したようにうなづく。

『本当にすみません、何から何まで本当にありがとうございます』

ペコペコと頭を下げる彼女に言う。

「帰ったらちゃんと冷やす事。」

パチパチと目を瞬かせ戸惑ったようにゆっくり頷く宮さんに

放っておいたら宮さん無理しそうだなと思って。そう言えば

『なんか見透かされた気分です』そう言って笑っていた。

言われた通りにすると頭を下げて何度もお礼を言ってくる宮さんに

じゃあそろそろ行きますねとその場を離れようとすれば慌てたように引き止められる。

そんなのいいのにな。と思う反面

　

何かしてあげた時にそれを当たり前だと思わずに

絶対にお礼をすると言う彼女の誠実さが

彼女が多くの人に好かれる所以なのだろうと一人納得した。