ハニーレモン・キス -Daiki.A-

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委員会の教室に入ると、同じ学年の女の子の顔がパッと明るくなった。
そうか、有岡くんと一緒だもんね。



「うそ！有岡くん！」
「実行委員ってこと？やばい！」



男子に空いてる席を勧められたのに、それを断って私と一緒に座ってくれたけどいいのかな。
女子からは、いいなーって声が聞こえてくる。
後から入ってきた3年の先輩も有岡くんを見ると嬉しそうな顔してた。




大「もっちー、字めちゃくちゃ綺麗だね。」


「本当？」




メモを取っていると、覗き込んできた有岡くんに褒められた。
目が合うとニコって笑ってくれて、胸が少しだけ弾む。
みんな、この笑顔と人懐っこさにやられちゃうんだ。


委員会が終わると女の子達が有岡くんに声を掛けてて、邪魔しちゃいけないと思って先に戻ろうと教室を出る。
すると、慌てた様子で追いかけて来た。




「有岡くん、足速いんだよね？」


大「まあまあじゃん？」


「1年の時も選抜リレー選ばれてたでしょ？」


大「え！知ってんの！？」


「遥香が言ってた。」


大「あ、なんだ。そういう事か。」


「ん？」


大「なんでもない！」




2人で一緒に教室まで戻ってる間も、会話が続いて何だか楽しい。
有岡くんて優しいんだなぁ。


教室に着く手前で後ろから名前を呼ばれた。
振り向かなくても分かる、あいつの声。




「健人。どうしたの？」


健「教室にタオル忘れちゃってさ。そっちは？」


「委員会だったの。」




バスケ部のエースで学年一のモテ男。
健人は唯一、中学からの同級生。




健「もしかして体育祭実行委員？Aが？」


「そうなの。」


健「なーんだ、俺もやれば良かった。」


「部活でそれどころじゃないでしょ。」


健「ま、そうなんだけど。」


「戻らなくていいの？」


健「やべ！じゃ、気をつけて帰れよ！」




爽やかに走り去って行く後ろ姿。
相変わらずだな。
健人と話している間、有岡くんは何も発さず隣にいた。




大「え、あの。王子と友達なの？」


「王子？」


大「中島健人。」


「あぁ！なに、健人って王子って呼ばれてるの？笑」


大「わっかんないけど、俺らの周りでは。」


「中学から一緒なの。」


大「あ、そうなんだ。」




他にも何か聞きたそうな顔をしているけど、出来ればあんまり聞かれたくない。
健人と仲が悪いとかって訳ではないの。
でもほら、噂ってどんどん広まるから。
だから自分から別の話題に変えた。

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