ハニーレモン・キス -Daiki.A-

32〈D〉 ページ32

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恵「………………付き合ってんの？」


大「いや、まだ。」


恵「そっか。」


大「でも！大貴くんって呼んで貰えるようになった！」




下の名前で呼び合う事になった経緯を、事細かにめぐに伝える。
隣からは相槌しか返って来ない。




大「だからね？俺的には大きな進歩なわけよ。」


恵「意識してると思うよ、向こうも。」


大「やっぱ？めぐに言われるとそう思えんだよなぁ。」


恵「…………………付き合えるといいね。」




めぐの顔は暗くて良く見えないけど、最近たまに見かけるいつもとは違う、何処か寂しげな笑顔。
でも俺は、自分の事で精一杯で。
Aの事ばっか考えてて。




大「めぐはいねえの？好きな人。」


恵「いるよ。けど、」


大「けど？」


恵「その人は、私じゃない人に恋してるから。」


大「そっか…。」




幼い頃からずっと一緒に育ってきた幼馴染の恋心。
何とかしてやれたらいいんだけど。




大「俺に何か出来る事あったら言えよ？」


恵「いいよ、別に。」


大「学校のヤツ？」


恵「大貴には教えないよーだ。」




スタスタ歩いて行く背中を追いかける。
こんなやり取り日常茶飯事。




大「来週、一緒に帰れねえわ。」


恵「なんかあんの？テスト前だよ？」


大「一緒に勉強しよって誘った。」


恵「へえ。大貴がテスト勉強ねぇ。雨降るんじゃない？」


大「お前！俺に失礼だろ！」


恵「まあ、頑張んなよ。じゃ。」




丁度めぐの家に着き、俺も目と鼻の先にある自宅に向かう。
やっぱ何となく元気ねえよな。




恵「はあ…。大貴、なんだけどな。」




知らず知らず知らずの内に、幼馴染を傷付けてただなんて。
この時の俺は知る由もなかった。

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