ハニーレモン・キス -Daiki.A-

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高2になって1週間が過ぎたある日。
授業が終わると後ろから背中をツンツンと突かれた。




光「ねえ。」


「なにー？」


光「今日、誕生日なの。大ちゃん。」


「え！今日！？」


光「そう。だからさ、大ちゃんにおめでとうって言ったげて。」


「もちろんだよ！」




知らなかった、今日が誕生日なんて。
光くんもなんで今言うかなー。
昨日言ってくれたら何か用意出来たのに。
鞄の中をガサゴソ漁ってみる。



「あっ！」



今朝、学校に来る前に買ったチョコレートのお菓子。
チョコ嫌いじゃないかな。
まだ開けてないし。




光「何してんの？」


「んー？」




パッケージの箱にマジックで文字を書いた。
本当はもっとちゃんとした物をあげられたら良いんだけど、今あげられる物これしかないから。



Happy Birthday
有岡くん
素敵な一年になりますように♡



光「うわ。大ちゃん絶対喜ぶわ、それ。」


「好きなの？このチョコ。」


光「チョコじゃねえよ。笑」




チョコじゃないなら一体なに？
メッセージを書き終えて顔を上げると、有岡くんがちょうど教室に入ってきた。
手には誰かから貰ったのだろう、プレゼントらしき物。




「やっぱ、やめる。」




たった今書き終えたお菓子の箱。
あんな可愛くラッピングされたプレゼントの後なんかに渡せるわけない。
鞄に戻そうとする手を光くんに止められた。




光「ちょ、ちょ、ちょ！なんでよ。」


「こんな、今朝自分のために買ったお菓子をあげるなんて。恥ずかしいよ。」


光「いいんだって。」


「良くないよ。今度ちゃんとしたの、」


大「なーに2人で仲良くしてんだよっ。」



気付いたら私たちの目の前に有岡くんが立ってて。
間一髪、お菓子の箱を鞄の中に閉まった。




「有岡くん。」


大「ん？」


「お誕生日おめでとう！」




お祝いの言葉を伝えると、目を大きく開いて一瞬フリーズしてしまった。




大「あ、りがとう。え、なんで？なんで知ってんの？」


「光くんにさっき教えて貰った。」


大「ひか、か。うんでも、すっげー嬉しい！ありがとう！」




太陽みたいな笑顔を見せてくれて、胸の奥の方がきゅっとした。
すると、小さな声で「もっちー、」と呼ばれる。




「うーるーさーい。」


光「いいじゃん、ほら。」


大「どうしたの？」


「なんでもないの！」

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