ハニーレモン・キス -Daiki.A-

30 ページ30

.
.





突然何を言われるのかと思った。
健人と付き合ってた事、どうして知ってるんだろう。




「誰かに聞いたの？」


大「ひかのバイト先に最近入って来た人がね、A達と同じ中学だったみたいで。あの2人ヨリ戻した？って聞かれたんだって。それでひかに聞いちゃったんだ、ごめん。」


「そうなんだ。」


大「言いたくなかった？」


「健人すごい人気あるでしょ？付き合ってたってなると、色々ね。」




付き合い始めた頃も、なんであの子が。とか結構言われたりもしてた。
時間が経つにつれて無くなったけれど。




「わざわざ元カレの名前を言う必要もないし。大貴くんも、誰と付き合ってたとか敢えて言わないでしょ？」


大「まあ、」


「だから言わなかっただけ。遥香だけ知ってる。」


大「そっか。あのー、」


「なんで別れたのって？」




健人とは元々仲が良かった。
中3になった時に告白されて付き合い始めた。
順調に付き合ってきた最中、お互い受験勉強が忙しくなり別々の塾に通っていたし、学校以外では会う時間がなくなった。


気持ちがなくなったわけじゃなかった。
ただ、今よりも子供だった私たちは自分に必死で。
そのまま自然消滅していった。




「嫌いになって別れたとかじゃないの。お互い不思議と気まずさとかも無くて。」


大「もう気持ちは、ないの？」


「ない。向こうもないと思う。」


大「そんなの分かんないじゃん。」


「ないよ。今は親友って感じ。」




私の事、よく分かってくれてるし。
言いたい事言える仲だから。
ただ、そこに恋愛感情はない。
健人にも「俺たち親友だもんな」って言われるしね。




「ヨリ戻してるなら、とっくに戻ってるよ。」


大「………………他に気になってる人とか、いんの？」


「…………………いる。」


大「そっ、か。」




大貴くんだよ、なんて言えるはずないけど。
実行委員の時もそう。
体育祭での約束とか、今日のお化け屋敷とか。
こうやって送ってくれるのとか。
もしかしたら、って勘違いしちゃうよ。




大「迎え、来てるんだっけ？」


「うん。だから駅までで大丈夫。」




あっという間に降車駅。
電車を降りて、たった今乗ってきた方に進む反対側のホームに向かう。




大「遅くなっちゃうから帰んな？」


「ううん。お見送りさせて？」


大「もー。それじゃ意味ないじゃん。」


「意味なくないのー。」




そうこうしている内にアナウンスが流れた。
もうすぐばいばいだね。

31〈D〉→←29〈D〉

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す