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焼香を上げる番が回ってきて焼香台の前まで来ると向かいに亡くなった○○さんの遺体が棺桶にいれられているものの中が見える状態で置かれていた。
前を向くと見える○○さんの遺体。
それがもう今から約30年も前になる母さんの葬式の時と重なった。
通常より早い胸の鼓動と変な冷や汗。
母さんが亡くなってからのこと、遺書の事が一気にフラッシュバックしてきた。
それでも焼香をあげているため葬式に来ている人みんなが見ている。
なんとか平静を装い自分の座っていた席へ戻った。
全員の焼香を終えて葬式が一通り終了した。
患者遺族「藍沢先生お忙しい中、本当にありがとうございました」
藍沢「いえ…○○さんとは生前から親しくさせていただいていましたから。すみません、次がありまして……」
患者遺族「お気になさらず。そちらに向かってください今日はご足労いただきありがとうございました」
そう言って丁寧に深い礼をしてくれる患者遺族の方に礼を返して俺は葬式会場を後にした。
車に戻って席に座って「ハアハア」とあがってしまっていた息を「ス―ーーハ―ーー」と深呼吸して整える。
しばらく何回か深呼吸を続けていると落ち着いた呼吸。
何だったんだあれは……?
○○さんの遺体を見た瞬間急な発汗と気分の悪さに襲われて手が震えた。
小さかったからあまり鮮明に覚えていなかったはずの母さんの葬儀の光景、俺を憐れむような視線の数々……が一気にフラッシュバックしてきて
母さんは俺がいたから死んだ……
そのせいで父さんは不幸になった……
そんなことを考え出すとどんどん気持ちが落ち込んでいった。
自業自得のはずなのに……
なんとなく車を発車して家に向かう。
家に帰るまでの記憶はほとんどなくて気づいたら車を駐車場に駐車していた。
車から降りて近くのコンビニへ向かい昼ご飯を買って自分の家に帰ると買ってきたご飯はあまり喉を通らなくて少し食べて後はほとんど残した。
ご飯を食べて本来なら休みのため医学書を読んだり、家事をするはずだったが今日はそんな気になれずベッドに倒れるように寝転がった。
藍沢「はぁー……」
口からでる溜息は自分でも驚くほど弱々しく白い天井を見つめながら俺はいつの間にか眠りについていた。
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明日香 - RULIさん» わかりました。コメントありがとうございます。なるべく希望に沿えるよう頑張って書かせていただきます。これからもよろしくお願いします! (2019年5月28日 21時) (レス) id: 9194933e72 (このIDを非表示/違反報告)
RULI - 遅くなってすみません。雪村先生がいいです! (2019年5月25日 9時) (レス) id: 8fa7ebfbfe (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 愛美さん» 感想ありがとうございます!楽しんでいただけたなら嬉しいです。これからも更新頑張っていきますのでよろしくお願いします! (2019年5月19日 18時) (レス) id: 9194933e72 (このIDを非表示/違反報告)
愛美 - リクエストした藍沢先生が甘えるお話を書いてくださりありがとうございます!!読みながら想像して悶えてました笑 これからも楽しみにしてます!! (2019年5月19日 16時) (レス) id: 9661795347 (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - RULIさん» お返事ありがとうございます!黒田先生か白石先生ですね!頑張って書かせていただきます。誰かを庇うとのことでリクエストをいただいていたのですが、誰を庇うとか指定はありますか? (2019年5月18日 21時) (レス) id: 9194933e72 (このIDを非表示/違反報告)
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