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待ちに待った合宿当日。
2回目は1週間も合宿があるから、それだけ一緒にAといることができる。
「…やっくん!」
バスから降りてきたAが、迷いなく俺に飛びついた。
周りのやつらは、「出た」という顔で俺らを見ている。
「久しぶり、A」
「会いたかった」
感情が高まってきたのか、Aは泣きそうな顔をする。
「その髪型、似合ってる。俺、好きだよ」
「……ほんと?やっくんショート好きなの知ってたから、合宿前に切ったんだ」
「──はーい、バカップル劇場は置いといて、さっさとやるぞー」
呆れたように手を叩き、そのうえ大声で言う黒尾。
2人で話していたいけど、さすがに練習をサボるわけにはいかないし。
仕方ないか。
「今日頑張ったら、いいものあげるから」
「いいもの?」
「うん、いいもの」
しー、と人差し指を口の前に立てると、Aは「楽しみだなぁ」と満面の笑みを見せる。
俺はその笑顔を見れただけで、十分だった。
「……あ!忘れてた」
「ん?」
「えっとね、久しぶりの──」
Aは照れくさそうに俺のジャージを掴み、自分の元に引き寄せて
キスをした。
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作者名:明日 | 作者ホームページ:http://twitter.com/asu_6021
作成日時:2017年3月17日 12時