淡雪の孤独

2.傍観者 ページ6

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この打ち上げが始まる前から、
あの田川っつー偉い人の目線が
阿部ちゃんのとこに行ってるのくらい
わかってた。


それは他のみんなも気付いてる。


なのに、
打ち上げの席で隣にさせてしまった。


でもあのテーブルの近くには翔太くん、
舘さん、佐久間くんがいる。


田川は、
目の前に佐久間くんがいるのに
阿部ちゃんにしか話を振らないし、
隣には翔太くんがいるのに
阿部ちゃんの方しか向かない。


iw「…あいつ、完全阿部のこと狙ってんな」

fk「まあでも阿部ちゃんも上手く交わすでしょ」



俺もそう思ってた。
それがいけなかったんだ。



阿部くん、阿部くん、と
可愛がっていた田川が突然、
暴言を吐き始めた。

止めようと3人が入ろうとしても
阿部ちゃんは頑なに拒否して
その暴言を受け入れた。


もう、ズタボロなはずだ。



「中途半端」



1番負けず嫌いで、1番の頑張り屋な彼に
浴びせる言葉では決してない。
その言葉が、阿部ちゃんの笑顔を奪った。


挙句の果てに酒まで飲まされて。

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