1 相応しいセッティング ページ1
.
______あ、桜。
私の元へ舞い降りたその桃色は、もう春が来たという事を伝えている。
家までの道のりは穏やかな春を感じられた。
それは入学に相応しいセッティング。
「(今年は少しでも長く咲いてますように)」
少し足を上げて敷居を跨ぐ。自宅に戻った安心感を感じ 、顔をあげると屈強なスキンヘッドの男。いや、此処だと漢かな。
「お帰りなさい、お嬢!」
「ただいま。」
上裸なのは日常茶飯事で、もう慣れてしまった。何故脱ぐのか、その心理は未だ理解できないが。
「只今戻りました。」
その言葉と共に襖を開け、我が祖父に顔を向ける。
「帰ったか、佑月。どうだったか?」
「受かったよ。」
「そうか!安心した、おめでとう。」
「ありがとう、おじいちゃん。」
高校の合格発表を見に行っていた私はその結果を報告する。受験した高校は少し遠いけれど、私が強く志願した高校だったので祖父にも了承を頂き、見事通えることになった。
私の報告を聞き嬉しそうに笑っている彼は、
五十嵐組 4代目 組長 五十嵐順大
私、五十嵐佑月の祖父である。私が七歳の時、不運な事故で亡くなった両親の代わりにここまで育ててくれた。
という事は私はヤクザの組長の孫娘ということで。
バタバタッ
「佑月さん!」
忙しなく部屋に現れた1人の黒いスーツを着た男。上着は脱いで、ベスト姿で現れた。
「センラ、」
「どうでした!?」
「ふふっ、受かったよ。」
そう言うと、彼は顔を綻ばせて笑う。
「ほんま!?」
「うん。」
「よかったぁ!」
「わっ!」
大きな声で喜んで、私を抱き上げくるくると回る。強く抱きしめられセンラの匂いがふわっと香る。
「ちょっ!」
「合格祝いでケーキ買ってきといて良かったです。落ちてたらどうしようかと思ったんよ〜!」
「降ろしてよ!」
「すみません、お嬢〜」
ごめんごめんと笑った彼は
折原センラ 五十嵐組の若頭
彼とは、私がここに引き取られてから8年間一緒に暮らしている。私を直接的に育ててくれたのはセンラと言っても過言では無い。
それぐらい彼とずっと過ごしてきた。
私の事を1番知っているのは彼だし、今まで辛いことがあって相談したのも彼、嬉しいこともそう。喧嘩を沢山したのも彼、沢山笑い合って幸せだったのも彼。
____初めての恋心を抱いたのも彼。
1223人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あるじゃん(プロフ) - あいさん» あいさんご無沙汰いたしております。暖かいコメントありがとうございます、嬉しい限りです泣 長らくお待たせいたしましたが、今後ともよろしくお願いいたします!更新頑張ります。 (2021年4月11日 13時) (レス) id: 2f7ed6fc05 (このIDを非表示/違反報告)
あい - おかえりなさい!!これからも更新頑張ってください! (2021年4月10日 18時) (レス) id: dad9695123 (このIDを非表示/違反報告)
みね - 更新、頑張って下さい!めっちゃ楽しみです!!! (2020年7月30日 23時) (レス) id: 2329b8e021 (このIDを非表示/違反報告)
白瀬(プロフ) - コメント失礼します…!!私が昔から読んでいた少女漫画と内容がそっくりで、めちゃくちゃ面白いです!更新頑張ってください! (2020年6月29日 7時) (レス) id: 29052aa6a9 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 本当ですか…?良かったです…文才足りんと悩んでいたので… (2020年5月13日 21時) (レス) id: b5c026bc9f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あるじゃん | 作成日時:2019年11月25日 0時