番犬くんのセンラさん

13 思わぬ遭遇 ページ13

.





｢理恵、ちょっと職員室行ってくるね。｣

｢うん、いってらー。｣



先生に｢職員室にこい｣と言われていたので、職員室に向かう。

昨日バスケ部を見学しに行き、その時持っていった差し入れが喜ばれたことを理恵に聞いて、嬉しかった。








｢あ、｣

｢あ、｣


職員室の前に着くと、バスケ部の月崎志麻先輩がいた。あちらも私を覚えているようだ。





｢昨日差し入れ持ってくてくれた子やんな？めっちゃありがたかったわぁ〜！｣

｢あ、いえいえ。全然大丈夫ですよ！｣

｢それにしても、昨日はごめんな？ボール当てそうになったやん。そんとき、部活中で臭かったかもしれん、ほんまごめん！｣

｢こちらこそ守ってくださってありがとうございます。臭いだなんてとんでもないです！｣



人懐っこく話しかけてくれて、初めて話すのにとても話しやすい。しっかり顔をみると、センラとは違うタイプのイケメンだ。これはモテそう。



｢それにしても、先生に用事？｣

｢はい、先生に呼び出されて。｣

｢そっかー、邪魔してごめんなぁ。｣

｢全然です！話しかけて貰えて嬉しかったです。｣



軽く自己紹介をするなどの会話を先輩と話し終えて、職員室に入り先生の用事を伺う。何となく予想はできていたけれど、クラス分の教科書を持っていけというものだった。

クラス全員分の教科書を持って、なんで私かな、と不満を心の中で零しながらも、職員室の扉を開け、廊下に出る。


すると月崎先輩がいた。



｢あれ？月崎先輩も用事ですか？｣

｢いや、佑月ちゃん待ってて。｣

｢どうかしました？｣

｢雑用やったら、手伝おうと思って。｣

｢！｣

｢ほら、半分持つよ。｣




私に課せられた雑用を手伝ってくれるらしい月崎先輩は、半分とは言いながらも、半分以上教科書を持ってくれる。




｢ありがとうございます！｣

｢ええよ、差し入れのお礼だと思って〜。｣

｢(うわわわ、かっこい〜)｣




サラリと半分以上持ってくれたといい、罪悪感を持たせないように理由をつけてくれたといい、月崎先輩のかっこよさにきゅんきゅんしてしまう。






これはモテそう。(2回目)

いや、モテる。(反語)

14 グイグイ系イケメン→←12 不意打ちってきゅんとする

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す