月ニ泣ク ページ19
「ねぇ、A。『cry for the moon』って、どーゆー意味か分かる？」
貴方がそんな事を言ったのは、成人式の日。
夏が誕生日の私は、とっくにハタチになってて
クリスマスイブが誕生日の貴方は、ハタチになったばっかりだった。
式典が終わった後、みんな着替えて中学の頃からの同級生で集まった飲み会。
何人くらい集まってたんだろうね？
ただ、物凄い人数だった事だけは覚えてる。
＿＿＿誰かが途中で抜けたって、気付かれないでしょ？
誰も私たちの事なんか、気にしてないよ。＿＿＿
私は貴方と手を取って、頭を寄せ合い小さく笑いながら店を抜け出た。
ただ1人、そんな私達に気が付いた色白の男の子が「バーカ」と口元だけで呟いたのを見た。
私には、彼氏が居て
貴方にも、彼女が居て
お互いの相手の事は知らない。
彼女とは大学が同じなんだっけ？
私もそう、彼氏は大学が同じ。
だけど、私たちは手を繋いだ。
当たり前のように。
それはいつもと同じ事なんだ。
・
貴方とは中学1年の時、同じクラスになった。
席が近かった。
キッカケなんて、そんなよくある事。
いつの間にか、貴方は私の一番近い存在になってた。
中学3年間は、貴方との想い出ばっかり。
ずっと、一緒に居た。
女友達より、一緒に居た。
だけど、「好き」とは何か違う気がするね、なんて言って。
「じゃあ、これ何なんだろうね？」
「親友じゃない？」
男女の友情なんて、都市伝説かと思ってたよ！
幼い私たちは、笑い合って喜んだ。
高校に上がった頃、貴方に彼女ができた。
何か負けたみたいで悔しくて、私も彼氏を作ったら
貴方は彼女と、別れてた。
「何かさ、違った」
貴方は、少し苦しそうにそう言った。
「何が違った？」
「...わっかんない」
「分かんないの？」
「...足りない、って思った。何か、何かが無いんだよ」
「何が無いの？」
「...わっかんない...」
そう零して俯いた彼の頭を、抱き締めた。
「よしよし」
失恋した親友を、慰めてるつもりだった。
「A...」
私の身体を抱き締め返して来た腕に、何の違和感も感じなくて
こうなる事を、自分達はずっと知ってたような気もした。
「雅紀...大丈夫だよ。私がそばに居てあげる」
貴方が失恋したあの日
私達は初めて、キスをした。
彼氏が居る私が、貴方と初めて禁忌に手を出した瞬間。
あの日から私たちの関係は、ちょっと歪んでた。
関係を人に言えないなんて、歪んでる。
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璃桜(プロフ) - 初めて読ませて頂いた作者の方もいて色んな作風が読めて楽しかったです。ゆったりとした雰囲気が儚くちょっと切なく感じました。またコラボの企画があったら読みたいと思いました！これからも応援しています！ (2016年12月12日 21時) (
レス) id: 18ebc3f5e6 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - reiさんのお話、ぐっときてしまいました。やっと自分の気持ちに気がついたのにすれ違いでもぅ会うコトもままならないなんて。後悔をして愛を知るなんて。悲し過ぎる。甘いお話も好きですがたまに涙して毒気を抜いてます。これからも楽しみにしています！ (2015年9月23日 14時) (レス) id: cc888f66ce (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - つむさんのお話大好きです。泣けてしまいました。また素敵なお話読むの楽しみにしてます！ (2015年9月23日 13時) (レス) id: cc888f66ce (このIDを非表示/違反報告)
かしゆか(プロフ) - この作品面白かったです！ところでつむさんに質問なんですけどパスワード解除したりはしないんですか？ぜひつむさんの作品を見たいのですが･･･ (2015年9月15日 0時) (レス) id: a67ea852ce (このIDを非表示/違反報告)
Ame(プロフ) - 5人の作者様のお話がそれぞれ重なりあってて、すごくおもしろかったです。感動しましたし、お腹いっぱいになりました。また是非このような企画があることを楽しみに待ってます！ (2015年4月23日 0時) (レス) id: 8bdb99006e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：tomyummy
x他3人 | 作者ホームページ：
作成日時：2015年4月2日 23時
