第二十五話 ページ26
「ノーマン。僕は・・・・」
((バタンッ
Aが口を開いたと同時に、後ろの扉が音をたてて開かれる。
「やっぱりな」((ボソッ
微かに笑いの含んだ声が耳元で聞こえ、僕は顔を上げAを見た。
それに気づいたAが軽く微笑み、そして力強い腕で僕を引き寄せた。
一体どういう状況なんだ。
どうして僕はAに抱きしめられてるんだ。
それに誰が入ってきたんだ。
戸惑う僕をよそに、Aは俺の背中をポンポンと叩き小さな声で「大丈夫」と呟く。
「ノーマン・・・虫が・・・!!虫がぁぁぁああぁ!!!」
「え?A?!」
肩に頭を置いてグスンッと鼻をすするA
「A?」
「怖い、怖いよ・・・!!ノーマン!!」
「A、大丈夫よ。ノーマンが困ってるわ」
「ママぁぁぁああぁ!!!」
僕から離れたAは、そのまま後ろに居るママの胸に飛び込む。
僕は、ただただ状況が理解出来なくて呆然と立ち尽くすしか出来ずにいた。
Aは、ママが此処に来ることを初めから分かっていた?
それに、「ノーマン。僕は・・・・」あの言葉の続きは一体何だったんだ。
二人を見ながら頭を回転させる。
すると、ママが立ち上がりパンパンと手を叩いた。
「A、ノーマン。そろそろ行きましょうか。皆が心配しているわ」
「うん!」
「う、うん」
さっきまでの涙が嘘だと思うほど綺麗な笑顔を見せたAは、僕に近づき手を差し伸べてきた。
何となく、その手を取るとグイッと腕を力一杯引っ張られ耳元でポツリと呟かれる。
「来るぞ」
驚いて顔を上げた時には、Aは前を向きママの後ろを歩いていた。
僕はその背中を見つめて唖然とする。
『来るぞ』
その言葉には、一体どんな意味が含まれているのか、それを知るのにそう時間はかからなかった。
1631人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アニメしか勝たん - 頑張ってください。私はあなたの小説が大好きです。いつもワクワクとした気持ちで見ています。無理する事なく、ちゃんと休んでくださいね。 (2023年1月17日 14時) (レス) @page14 id: d82d2213ef (このIDを非表示/違反報告)
ほしの - 滅茶苦茶面白かったです。続きはもう見れないのでしょうか…この先が気になります!更新、何時までも楽しみに待ってます。 (2022年1月26日 8時) (レス) id: 3e0bb8035d (このIDを非表示/違反報告)
ヤイ(プロフ) - とても面白かったです!!!更新頑張ってください!!! (2021年2月22日 21時) (レス) id: a0cd87f974 (このIDを非表示/違反報告)
ノア - とても面白かったです!更新楽しみにしてます。頑張って下さい! (2021年2月18日 13時) (レス) id: b55d75de00 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうらり - めちゃ続いて欲しい…この後の展開が気になる、っ (2020年12月23日 23時) (レス) id: e0a13cc95c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ