第十六歩 ページ17
「冗談だろ?」
何となくだが、エマならそう言う気がしていた。
でも、此処は引けない。
確実にお前らを助ける為に、引く訳にはいかない。
「全員で37人。大半が6歳未満だぞ!?ママ、鬼、発信機、ただでさえ簡単でない脱走の何度がケタ違いにハネ上がる。」
「それは判ってる!でも、無理だと決まったわけじゃ・・・「いいや、無理だ」」
成程。
エマは一番大切な事に気づいていない訳か。
「エマ、お前気づいてないだろ」
「え?」
「エマ、"出る"だけじゃダメなんだぞ。
出荷される先がある。農園ってモノがある自体で予想がつくだろ。
外に待つのは"鬼の社会"だ。人間が生きる場所なんて最悪何処にもないんだよ」
ノーマンは頭が良いから気づいていたはず。
気づいてもなお言わなかった。
いや、言えなかったのは・・・・。
「置いていく。それが最善だ」
「やだ。無理でも私は全員で逃げたい。何とかしよう!」
「はぁ?!!」
「全滅はやだよ。でも置いていく選択肢はない。
ないなら作ろうよ!外に。人間の生きる場所。
変えようよ世界」
何を言ってるんだ。
無茶だ。
理想論だ。
「だからレイが折れて!ゴチャゴチャ言わずに力を貸して!!」
クソ、コイツ!!
人の気も知らねぇで!!
「オイコラ保護者、ちょっと来い!」
大爆笑するノーマンを引きずり、俺はエマから少し離れた場所へと移動した。
コイツは頭がいい。
だから、きっと分かってるはずだ。
「あの馬鹿何とかしろ!」
「ねー本当!でも良かった元気で☆」
「じゃなくて止めろよ!死ぬぞお前ら二人共!!
お前は最初から分かってんだろ?」
視線を逸らしたノーマンがポツポツと話し出す。
エマの前では言わなかった、あの夜の続きを。
「・・・けどエマは家族が死ぬのが怖くて泣いていたんだ。凄いよね、あの状況で何かを守ろうと考えられるんだ」
「でも正しくない!!泥船だ。・・・ぶっちゃけ三人だろ・・・増やすとしてもAくらいだ。それなら逃げられる!」
確実に逃げられるメンバーで、
確実に生き残れる奴だけで、
「情で判断をねじ曲げるなノーマン!」
それが正しいはずなのに、
「違うよレイ。僕も泥船を作りたいんだ!」
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アニメしか勝たん - 頑張ってください。私はあなたの小説が大好きです。いつもワクワクとした気持ちで見ています。無理する事なく、ちゃんと休んでくださいね。 (2023年1月17日 14時) (レス) @page14 id: d82d2213ef (このIDを非表示/違反報告)
ほしの - 滅茶苦茶面白かったです。続きはもう見れないのでしょうか…この先が気になります!更新、何時までも楽しみに待ってます。 (2022年1月26日 8時) (レス) id: 3e0bb8035d (このIDを非表示/違反報告)
ヤイ(プロフ) - とても面白かったです!!!更新頑張ってください!!! (2021年2月22日 21時) (レス) id: a0cd87f974 (このIDを非表示/違反報告)
ノア - とても面白かったです!更新楽しみにしてます。頑張って下さい! (2021年2月18日 13時) (レス) id: b55d75de00 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうらり - めちゃ続いて欲しい…この後の展開が気になる、っ (2020年12月23日 23時) (レス) id: e0a13cc95c (このIDを非表示/違反報告)
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