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見くびっていた 沖田side ページ32

沖田side


竹刀をぶつけ合うまでのカウントダウンを終えて、俺とAは同時に床を思いきり蹴りあげて足を踏み出した。道場にはダンッという大きな音が響いて、それまでの静寂をそのひとつの音だけで塗り替えていった。そして俺は、Aのその小さな足が発した音が思っていたよりもずっと大きくて、力強かったことに、まず驚いた。Aの足は勿論俺のよりも一回りよりももう少し小さくて、ソイツが履いている靴を見てはちっせェなと思っていた。試してみたことはないが、Aの靴は俺の足では絶対に入らないだろう。爪先が潰れるというか、そもそもそこまで到達できるとは思えない。兎に角俺は、その小さな足が発した足音に、内心で目を見開くように驚いていた。

そして、最初にAの竹刀を自分の握っている竹刀で受け止めたとき。更に驚くことになる。俺の胸部に飛んできたそれを防ぐべく竹刀を構えて竹刀と竹刀がぶつかったとき、その重さに、思わず一瞬だけ目を見開いてしまった。それに気付かれないようにすぐに平常を取り繕った顔を貼り付けたけれど、少し心配だ。

思っていたよりもずっと、俺が目を見開いてしまうくらいには、その一撃は重かった。ペーペーの剣士だったなら確実に剣を吹っ飛ばされたことだろう。その驚きを消化しきれないうちにAからの二度目の一太刀が俺に降りかかってくる。それを防いで、また竹刀が違う角度から飛んできて、それを防いで。そのひとつひとつに、俺は圧倒されるような感覚を覚えていた。


──コイツ、いつの間にこんなに。


剣や身体の動きが、足音が、判断力と先の読みが、そして、目付きが。そのすべてが、俺が予想していたものを越えている。俺は今までコイツの何を見ていたんだと思わされるくらいに。この華奢で小さくて、頼り無さそうに見える、護ってやる誰かが絶対に必要なように思えるこの女の何処に、これほどまでの力が隠されていたのだろう。

俺は、Aを完全に舐めきっていたということだ。コイツが強いことはずっと知っていたつもりでいたけれど、そんなことは、なかったのだ。俺はまったく、コイツの実力を知らなかった。知らないまま、見くびっていたのだ。誰よりコイツの強さを知っているような気でいて実は、何も知らなかったなんて、なんのお笑いだろうか。


このまま、コイツを舐めたままでいたなら、俺は負ける。コイツの剣に負ける。そう思った。


目を見張って、前を見据える。そこには竹刀を握り締めているAが居て、その姿は本当に、気を抜いたら見蕩れてしまうくらいに綺麗だった。

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
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樹里 - 今回も陽太くんかっわいいっ!!うちの弟もこうだったらなぁ〜 あと、全然関係ないんですけど、名探偵コナンに沖田総司っていう人が出ててめっちゃびっくりしました。ちょっとパクられたような気がしたんで、ソッコーでコレ読みました(笑) (2018年10月7日 18時) (レス) id: c11197eaa9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 樹里(元茉莉華)さん» 樹里さん!お久し振りです!コメントありがとうございます!いい感じのところですね〜私もここらへんは苦戦しつつも書けるときはとことん楽しんでいたので、うまいこと盛り上げられたらいいなと思います!着実に成長していく二人をお見のがしなく!(笑)頑張ります! (2018年9月26日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
樹里(元茉莉華) - ピピコさんお久しぶりです! なんかいい感じのとこですねっ!! 更新楽しみにしてます! (2018年9月25日 17時) (レス) id: c11197eaa9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ヒタキさん» ヒタキさん!初めまして!ありがとうございます!いっぱい読んでださってるんですね…!すごく嬉しいです!何度も読み返してもらえるようないいお話が書けていたらいいなと思います!これからもドキドキワクワクして貰えるように頑張っていきます!! (2018年9月6日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
ヒタキ - こんばんは!初コメさせていただきました。ピピコさんのこの小説本当に大好きで何回も読ませてもらっています!!いつもドキドキワクワクです。これからも応援しています^^ (2018年9月6日 23時) (レス) id: 130f1442ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2018年6月15日 19時

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