【銀魂】沖田隊長、約束をしましょう【沖田総悟】

だがしかし ページ16

どうして沖田隊長がここに居るのだろう。いや、ここは真選組屯所で、沖田隊長が現れたところでおかしな話なんかではないのだけれど、彼は今眠っているはずじゃないのか。話が違うじゃないか。いや、何の話が違うというのだ。彼が寝ていようと寝ていなかろうと私がとやかく言う筋合いはないだろう。だが。だがしかし何故このタイミングで彼が居るのだろうか。珍しく仕事を真面目にこなしてくれたから疲れているだろう。明日のためにもその疲れは早いとこ眠って取ってしまうべきだろう。ていうか沖田隊長なら疲れきって布団に入ったならすぐにでも眠ってしまえそうなものなのに、なんだってこのタイミングなのだ。勘弁してほしい。…そんなことを私は捲し立てるように内心で思う。

次に顔を合わせたならちゃんと言うんだと決めたそばから彼が私の目の前に現れてしまった。顔を合わせてしまった。どうしろというのだろう。今ここで言えということか。いつまでも足踏みしたまま口を閉ざしている私への罰なのかこれは。神様はお怒りなのだろうか。だとしたらズルズルと後回しにしていた私が悪いのかもしれないけれど、随分と酷いことを考えるものだ。被害妄想が膨らんでいく。

バクンバクンと心臓が騒いでいる。その音を聞きながら「沖田隊長こそ、」と私は口を開く。出来る限りナチュラルを心掛けて。


「まだ寝ていなかったんですね。てっきり既にご就寝中かと」

「…なんか、眠れなくてねィ」

「珍しいこともあるものですね、いつもはお昼寝をしていたとしてもぐっすり眠ってるのに。頑なに朝起きないくらい」


どうせ起きてくれないのだから寝ていてくれたらいいのに。嫌みっぽくそう言ってやれば、昼寝と夜寝は別もんでィ、なんて。そんなことを言ってのける。デザートは別腹みたいに言わないでほしい。私は呆れましたというように溜め息を漏らした。

沖田隊長は私のことをじっと見つめている。その赤い目に、ちゃんと自分が自然に映っているのか、不安になりつつもその不安を誤魔化すように私は続ける。


「でも、ちゃんと眠っていてくれないと困りますからね。明日の朝、更に寝起きが悪くなるでしょう」

「へいへい」


私の言葉に、沖田隊長はこれまた適当な返事を返して。きっと明日も彼を叩き起こしにいくことになるんだろうなぁと思った。まぁ、彼を叩き起こしに行かなかった日なんてほぼないのだけれど。彼が奇跡的に自力で起きられたときと、彼が非番の日以外のことである。

非常に極端に→←次に顔を合わせたなら

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