町を出よう ページ6
赤塚区、赤塚区…!
赤塚区へ向かう電車にゆられながら、忘れない様に口の中で何度も呟く。
うわあ…!窓の外を覗けば、なんだかほっとするような暖かな町並みが広がっている。
わたしの町から、たった一本離れただけなのに、ずいぶん町並みが変わるんだな…。
なんて少し切ない気持ちになりながら外を見ていると電車内にアナウンスが響いた。
「○×駅〜、○×駅〜!」
もう○×駅ですか!?ぼ、ぼーっとしてた!降りなきゃ!
『うええ!?こっ、ここだ!』
素っ頓狂な声を上げて、キャリーバッグを引きずる。何でわたしってこうなのかな!?
「…フッ」
軽く赤面しながら必死に電車を降りようとすると、前の席から笑い声が聞こえた。
わ、笑われた!?恥ずかしい…
自覚すると顔が更に熱くなる。急いでこの場を離れなきゃ!
電車の人混みにAは紛れていく。背中に振り返る視線には全く気がついていないことは明らかだった。
一松side
今日は遠くの猫カフェに行った帰り…
やっぱ、猫っていい。可愛い。
ついでにもう少し駅を乗り継いで猫グッズでも買いに行くかな…
ふと前に目をやる。
ん…目の前に若い女が乗ってる。珍し。ここら辺に来るなんて変わってんな…。そいつは俺の目線に気付かず、ぼーっとした顔で窓の外をキラキラした目で眺めている。
……そんな面白いもんあるか?ここら辺に。
「○×駅〜!○×駅〜!」
…おっと、一瞬身体が反応したけど、ここじゃない。まだ先だ…。前の女は、まだ外を見てる。……子供かよ!
『うええ!?こっ、ここだ!』
真面目そうな見た目に似合わず子供みたいな声を出すもんだから笑いが出た。
「…フッ」
バタバタと音を立て、重そうなキャリーバッグを引く姿に、なんとなく目が離せなかった。
…あいつ、この駅に用があるんだ。
「……まあ、別にどうでもいいけど。」
彼女の見ていた車窓を見る。はっきり言ってありふれた街だと思う。それでもあの女の表情を見ると、何か素晴らしい物があるんじゃないかって思う。整った顔を子どもみたいにしてきらきらと笑ってて。
こんな気持ちになるのがむず痒くて、走って駆け下りた彼女の方に目をやる。小さな彼女は人混みに溶け込もうとする真っ最中で。目で追っているのもお構い無しに電車は動き始めて、目的地まで連れ去ってくれた。
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作者名:なえ | 作成日時:2016年8月13日 13時