終わらない物語 (ページ12)

今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:14,480 hit

拾ページ12

「翔香様は、生まれてきてはいけなかった子として育てられました。翔香様の生まれ育った村は今はもうありません」

この言葉でその話は終わった
なんでも、お母さんは凄い能力者だったらしく、目を見ただけで殺されると言われていたらしい

「Aの母さんだよな？翔香様って…」
私にそっと耳打ちしてくる赫
「うん、私の生まれ育った村で私を守って殺されちゃったけどね…」

あの時は信じられなかった
「複写」の能力を持つ私は、昔からお母さん以上に嫌われていたらしい
ある時、私は鎌で殺されそうになった
それをかばって死んでしまったのがお母さん
私の前に横たわる赤い肉片を見て私の意識が消えた
気がつくと『入ると二度と出てこられない』と言われている樹海に入り込んでいた
そこで私の育った村の住人にあった
その時の私は、紫色の髪に黒い瞳だったので能力者だと思われなかったらしい

「翔香様の育った村がもう無いってどういうこと？」
緑葉が首をかしげていう
「俺はよく知りませんが…」
「草姿は黙ってて。ややこしくなる。…それは、私が知ってます」
佳奈ちゃんがこっちを見て言う

月明かりに青い目が怪しく光る

「翔香様が消息する前、その村は全滅しました。なんでも、黒髪の黄色い目が美しく光る能力者に滅裂されたとか…私は、その能力者は翔香様だと思っていますが…なぜなら、その時の翔香様の能力が暴走した時の姿は、黒髪の美しくなびく黄色い目の綺麗な女だったそうですから」

暴走かぁ…
能力者は暴走した時、姿が変わるらしい
その時の記憶は無いんだけどね

「Aちゃん、大丈夫？」
黄耆が私の顔を覗き込む

天使だ

「うん、大丈夫」
笑顔で返した。綺麗にできたかどうかは自信無いな…

「じゃ、次は能力者について教えてもらおうかしら」
葵が変わらないペースで冷たく言い放った
ほんと、性格変わるよな…

「能力者って、いわば最初の五人の子孫みたいな…まぁ、血族ですね。その五人に今一番近い血が流れているのはあなた方五人です。その中でも最強と言われた「複写」の能力の持ち主は暴走することが多いらしいですよ」

私が…暴走しやすい？

「だいたい、能力者が暴走するのって、自分が本当に怒った時ぐらいなんですけど、「複写」…つまり、Aさんの場合、怒ってなくてもたまに暴走するらしいです」

え…？なに、それ。怖い…
いつか私は人を傷つけるんじゃないか…

「ちょっと、外出てくる…A一緒に行こう」