【d!】まもなくキレます。2【軍パロ】

82 ページ35

あれから数日経つが、トントン様の病状は良い方向に向かっている。ってペ神様が。
元々規則を守る厳格な性格な為、普通に睡眠を取ったらいつもの判断力が戻ったらしく翌々日にわざわざお詫びに来られた。紳士。

因みにグルッペン様からの訪問は一度もない。
逆に攻め込むのもありか。


まぁ今は大丈夫かもしれないが、恐らく放置しているとまた同じような事を繰り返すだろう。

あの人は厳しすぎる故それの矛先が自身にまで牙を向いてしまっているのだ。
結論から言ってしまうとトントン様自身に興味がなさすぎる。いくら何でも粗雑に扱いすぎだ。
その上大きな子供十数人の世話が課せられる、なるほど倒れる訳だな。

せめて仕事を分担するなり対策をした方が身の為なんじゃないか、と提案をしたが
「ごめんな、俺にはこの忙しさがあっとるみたいやから。」
と軽快に言われてしまった。
いつも通り、今の日常が良い、と当人に言われてしまえばぐぅの音も出ず、私が折られてしまった。
まぁ確かに、居心地の良さは認めよう。

だけどもそれが溢死に直結しているわけだから、「最低でも七時間は寝ろ」と直接釘を差しておいた。
これで私の仕事が減ればいいのだけれども。


自分の死も気にならないくらいに、ここでの生活が心地いいか。

確かに悪くない。
うん、あそこで食い下がってしまったのは私も同じ気持ちだったからだ。


朝起きたら大抵誰か居て、朝ご飯の時も煩い位に賑わっていて。
お昼はペ神様のお仕事を手伝ったり、誰かと城内の探索に出たり、お茶会に誘って貰ったり。
それなりに腹立つこともあるし、我慢ならない時もある。
それでも私の隣にはいつも誰か居て、決してひとりじゃない。
ここに来てから満たされてばかりだ。


思い返してみると頂いてばかりで、お返しをした事がないかもしれない。
ものを貰ったり気持ちを貰ったり、感情をぶつけられたり。
人と心と触れ合うことで笑ったり泣いたり喧嘩したり、仲直りしたり、そうして心の隙間を埋められていく。
窮屈に感じたことは一度もない。
本気で憎んだ事も一度もない。
私は、ただここの人の暖かさが心地良くて、大好きで感謝している。
今はただ、この純である気持ちに浸らせてくれ。









今だけ、戻りたくないなんて思った私を許してくれ。

83→←81

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す