ヤキモチ彼氏くんたちの話。2 ｰ短編集ｰ

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「好きな、人…？」






時が止まった
今、好きな人って言った…？

すると彼は、ふっと笑みを零して
早く行くよと店の外へ私を連れ出し
帰る方向へ足を踏み出す

スタスタ歩く彼の後を追うけど
さっきのことで頭がいっぱい
どういうことだったんだろう

そんなことを考えながら
トボトボと歩いていると
それに気付いた彼は、振り返って私を待った
中々聞こうとしない私に、小さくため息をつく








健「…本当、Aちゃんって鈍感」


「鈍感って何よ…」


健「…じゃぁ、俺が今、何考えてるか分かる？」








隣同士歩きながら
言い合いになりかけた瞬間
自分の方に振り向かせられ
手を握られ、真っ直ぐな視線

その瞳は、真剣そのもので
こんな彼は初めて見た
目を逸らせない

頭にポンっと手を置かれたと思えば
その手はだんだんと頬、顎のライン
そして、唇をなぞられる








「ちょっと…」


健「…キスして、このままAちゃんを持ち帰って、…その先も、全部俺のモノにしたいって考えてる」









自分の心臓の音が、大きく鳴って
火照った身体がゾクッとした

じゃぁ彼は、…本当に私が好きなの…？
皆にこんなこと言ってるんじゃないの？








「ちょ、もー…神谷、先輩で遊んじゃダメだよ」






ふふっと笑って、無駄にドキッと
してしまった心臓の音をかき消そうとする
あまりに真剣だったから、
本気だと思っちゃった


すると彼は、不機嫌な顔をして歩き出した
私はそんなに簡単に遊びに引っ掛かりませんよー？
なんて、もう私…大人気ない…


こんなに優秀で、しかも年下の子が
私を好きになるわけないんだから









「はぁ、冗談もほどほどに…」


健「じゃぁこれで、冗談じゃないって分かります？」


「え…」








私が隣に並ぼうと歩き出した時
彼は私の方を向いて、顎を掴んで
ゆっくりと、優しく唇を重ねた

何も考えられなくて
目を瞑る彼が、目の前にいる







健「どこまで言わせたら気が済むの」


「え…」


健「いい加減気付けよ。好きって言ってんの」


「冗談…」


健「本気。Aちゃんが好き。」








そう言って、もう一度重ねられた唇
さっきよりも強く唇を押し付けられて
柔らかく、温かい








健「俺の彼女に、なってくれる？」









私の頬を親指で撫でながら
上目遣いでニコッと笑う彼

それは、以前からアプローチされてても
気付かなかった私への想いが溢れた
彼なりの伝え方







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