ヤキモチ彼氏くんたちの話。2 ｰ短編集ｰ

【恋の始まり】山本彰吾 ページ38

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私はこの春に志望していた高校へ
無事に入学出来た
可愛い制服、大きくて綺麗な校舎

こんなに広い階段なんて
１段飛ばしでサッサッサ〜…って登っちゃって
なんて調子に乗っていたら









「きゃ…！？」


彰「ん？…お、来い…っ！」









ツルッと足が滑って
ド派手に階段から落ちた私を
受け止めようとしてくれてたみたいで
彼は私の頭を抱えたままぐるりと回り
抱きしめたまま、倒れた









「痛…」


彰「イタタ…何で苺のパンツ？」


「！？」








落ちた音よりも、大きく響き渡ったのは
彼の頬を叩く音

彼が抱えてくれたのは良かった
馬乗りになってでも頭を守ってくれた
いつ見えたのであろう、私のパンツ

助けてくれたのに、お礼を言う前に
彼のその一言で思わず
反射的に頬を引っぱたいてしまった









彰「…へぇ、いい度胸してんじゃん」


「あ…いやその…ちが…違うんです、…っ」


彰「何が違うって？」


「ごっ、ごめんなさい…っ！！」









ギロリと睨まれた目つきに
背筋が凍って思わずバタバタと
その場を去ってしまった

ヤバい…上履きの色違ったよね
先輩…だよね

私、助けてもらったのに最悪なことした
普通、一言目はありがとうございますと
お怪我無いですか？だよね…

なのに私、なのに私
たかがパンツを見られただけなのに
命に勝るものなんて無いのに叩いちゃった…









友達「A、顔やばいよ 笑」


「ヤバいんだって、ヤバいことしちゃった」







顔を真っ青にしている私を見て
からかってくる中学からの友達に
今日あったことを全部話した







友達「それは、あんたが悪い。謝ってきな？」


「え、え〜…怖すぎる」


友達「でもあんたを助けようとしてくれてたんでしょ？いい人じゃん」








入学して早々、先輩の教室に行くなんて気まずい

でも確かに友達の言う通り
私を助けてくれようと手を伸ばしてくれた
優しい人なのは間違いない

深いため息をついて、何度考えても
謝りに行かないといけないことは明確だ
それに、謝りたい気持ちは誰よりもある

友達についてきてもらうことにして
先輩の学年であろう教室をひとつずつ覗くけど
どこにもいない







「あれ？居ない…」


友達「この学年じゃないのかもよ？」


「そうかも…あぁ、すごい気が重い。優しい人なんだろうけどさ、めっちゃ怖い顔してたよ。サイコパスみたいな」


彰「誰がサイコパスだって？」









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