ヤキモチ彼氏くんたちの話。2 ｰ短編集ｰ

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帰ってくると
とりあえず、彼のおでこにシートを貼って
起きたら食べれるものを
作っておこうとキッチンに立ちながら
さっきの顔を頭に浮かべる
どこかで見たことある…








壱「おい…」


「っぃやあ！？」


壱「…トイレ」







ボサッとした前髪を見せながら
私の後ろに立っていて
思わず驚いて身体ごと跳ねた

そんな私なんか気にせず
変わらないトーンで聞いてくる
案内すると静かに着いてきてパタンと扉を閉めた






「ビックリした…」





あんなに気配のない人、いるんだ…
暫くすると、出てくる音がしたから
部屋、分かるかな？と
彼の後ろ姿を追いかけようとした


………ん？
彼のお尻から、尻尾みたいな
毛がフサフサした大きい何かが
くっついていた

目を擦り、もう一度見ようとしたときには
彼は部屋へ入った後で
見ることが出来なくて
…見間違えかなと思い
ふと、付けているテレビに視線を移す


あ…！この人にそっくり！
THE RAMPAGEの…川村壱馬？
友達が好きだったっけ
あ、だから私見たことあったんだ〜





って………え！？川村壱馬？
THE RAMPAGEの！？
ガタッと、お鍋を倒しそうになるも
何とか堪えて大急ぎで火を止めた

うそでしょ、いやいや…







「さすがに…」






顔の前で手をぶんぶん横に振りながら
無い無いと言い聞かせるも、やはり気になる。

そう思った頃には
足が彼の元へ向かっていた
こっそり覗くと、すっかり
すやすやと寝息を立てているようだった

そっと近付き、布団をずらして顔を確認する
すごい似てるけど、まさか本人…？
そう思っていたら、フードがピクピク揺れた


フードって、こんな変な揺れ方するっけ
彼に気付かれないように
息を止めて、静かにそっと、フードを外した







「っ…！」


壱「…触んなって、俺言ったやんな？」








パシッと掴まれた手首
フードを外した頭にあったのは
ピクっと揺れる…大きな黒い耳







「な…何、これ…」


壱「…最悪」


「え、え…？」


壱「…責任取れよ」







手首をそのままグイッと引っ張り
勢いよくベッドへ連れ込まれ、
簡単に組み敷かれる

熱は全然収まっていなくて
彼の身体は熱いままだし
吐息も漏れている

責任…？








壱「今夜は、満月出てるから…我慢出来ひん」







熱さからか、頬を少し赤らめてる
それで、体調悪かったってこと…？
え？待って、私は今からどうなるの…！？







壱「朝日が昇るまで…頑張って」









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