織田作の面影 -伍-

六 ページ48

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あっという間に授業参観が終わり、私は作兄と帰っていた。


『……作兄』

「何だ」

『来てくれて、有難う

凄く、嬉しい』

「……ああ」

『でも、ポンポンは場違いだと思う』

「……？」


何の事かよく判らない、と云う顔で私を見る作兄

だって……其れ



『応援グッズじゃん』

「授業参観って……そういうものだろ？」

『違う、見るだけだよ

子供の学校生活を見るの』

「そうだったのか」




……知らなかったのか……


少し恥ずかしい、けれど作兄は何時もこんな感じだから

慣れてしまった気もする。




『……ポンポンはほら

フレーフレーって』

「俺はその心算だったが？」

『うん、だから其れが違ってたんだよ』

「……」



でも、もう一つ嬉しい事があった

其れはクラスメイトのお母さんやクラスメイトにかっこいい兄だと云われた事


担任の先生に至っては、良かったねと私の頭を撫でた。


屹度、顔に出ていたんだと思う






……かっこいいお兄ちゃん

当たり前だ！





『……えへへ』

「何だ」

『何でもない！

今日は家に帰るの？』

「仕事だ、抜けてきただけだ」



……また、お仕事か

一緒に居たかったのに


って、作兄を困らせちゃ駄目だ


こんなの、私の我侭なんだから。




『……何だ、咖喱にしようと思ったのに……』

「……え？

俺の分も、作っておいてくれないか」

『え？

あ、うん判った！』



ガッカリ、したけれど

食べるって


何時もはいらないと云われるのに


まあ、咖喱だからなんだろうけど




其れもまた、嬉しい




「なあA」

『何？』

「学校で厭な事とか無いか？」

『え、厭な事……？

そうだなあ、男子にちょっかいだ出されるのが一寸』

「何っ、ちょっかい出されているのか？

規模は？」

『そ、そんな大したものじゃないよ！

大丈夫！』


(後に〔番外編:恋事情〕に繋がる)




「そうか……」

『……



……ねえ』




授業参観って

何時もは厭なだけの行事だったのに



「何だ？」




今日は、楽しかった。






『作兄、大好き！』

「ああ、俺もだよ」









番外編 終

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